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「本むつ(ほんむつ)」は、スズキ目ムツ科に属する深海魚「ムツ」のことで、春の季語です。同科のクロムツと区別するために「本」をつけて呼ばれることがあります。「むつ」という名前は、脂っこいことを古語で「むつこい」や「むつごい」と言ったことに由来し、その名の通り上質で豊かな脂を含んだ白身が特徴の高級魚です。冬から春にかけてが産卵期であり、この時期に浅い海へと移動してくるため、春を代表する味覚として親しまれてきました。
「本むつ」は食卓を彩る食材としての存在感が強いため、料理の情景や味わい、家庭や料理屋の落ち着いた雰囲気を切り取るのがおすすめです。煮付けにしたときの照りや立ち上る湯気、酒との相性、魚を盛る器の美しさに着目すると、実感のこもった句になります。また、深海から春の波へと上がってくる魚の生態や、港町の活気を背景に据えて詠むのも効果的です。
・調理や味覚に関する言葉(煮付け、甘辛、小鍋、濃口、夕餉) ・器や食卓の情景(大皿、青磁、箸、盃) ・春の自然や海の情景(春潮、春波、浦、港町)