灯籠売

灯籠売

とうろううり

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意味・由来\n「灯籠売(とうろううり)」とは、旧暦七月(初秋)の盂蘭盆会(お盆)を前に、盆棚や仏壇に飾るための盆灯籠や切子灯籠などを売り歩く商人のことです。江戸時代から昭和初期にかけて、夕暮れ時になると灯籠を天秤棒に吊るして担ぎ、「とうろ、とうろ」などと独特の節回しで町々を売り歩く姿は、初秋の風物詩でした。色とりどりの薄紙や透かし彫りが施された灯籠が夕闇に揺れ動く光景は、先祖の霊を迎える盆の近づきと、夏の終わりに伴う秋の寂寥感を人々に感じさせました。\n\n### この季語で詠むコツ\n灯籠売は「秋の夕暮れの情感」と「死者を迎える盆の気配」を併せ持つ季語です。詠む際には、単に商人の姿を写実的に描写するだけでなく、夕風に揺れる紙灯籠の頼りなさや、日暮れの小路に響く売り声の哀愁を捉えると詩情が深まります。灯籠は雨や風に弱いものであるため、天候の変化(夕立風など)や、暮れゆく光と灯籠の淡い明かりの対比を意識すると、初秋らしい繊細な情緒を鮮やかに表現できます。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n・光や影:「夕日」「黄昏」「辻」「影法師」「薄明かり」\n・音や声:「売り声」「遠ざかる」「風の音」「小路」\n・秋の風情:「初秋」「涼し」「夕立風」「暮れそむる」

灯籠売」の俳句例 (3件)

灯籠売夕立風を急ぎけり
与謝蕪村【現代語訳】灯籠売りが、夕立を運んでくる激しい風に煽られながら、雨に濡れまいと足を急がせていることだ。\n【鑑賞】薄紙で作られた繊細な灯籠は雨や強風が大敵です。急な夕立風に翻る色とりどりの灯籠と、慌てて小走りに駆けてゆく灯籠売りの焦燥感が、鮮やかな動的描写によって生き生きと切り取られています。
灯籠売る声の底なる夕日哉
小林一茶【現代語訳】灯籠を売る物寂しげな呼び声のその奥に、低く沈みゆく夕日の光が弱々しく射していることよ。\n【鑑賞】町小路に響く売り声の低音と、秋の訪れを告げる斜陽の寂寞感が溶け合っています。盆の近い初秋の夕暮れが持つ、人の世の儚さと哀愁が情感豊かに表現された一句です。
灯籠売る小路小路をともしけり
正岡子規【現代語訳】灯籠売りが、入り組んだ小路から小路へと、灯籠の火を灯しながら売り歩いていく。\n【鑑賞】夕闇が深まる下町の路地に、ぼんやりと浮かび上がる灯籠の明かりが連なって移動していく様子を描いています。静かな夜の訪れと、お盆を待つ町の慎ましくも温かい生活感が素直に捉えられています。

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