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「燃草(とぼしぐさ)」は、夏の夜に淡い光を放ちながら舞う「蛍(ほたる)」の情緒豊かな異称です。闇夜の中で火を灯したように淡く明滅する様子や、草の葉先にとまってぽつりと光を宿している姿を、火を点じる草に見立ててこのように呼ばれるようになりました。「点し草」と表記されることもあります。生き物である蛍をあえて植物のように見立てる表現に、古くからの日本人の雅やかな感性と風情が感じられる季語です。
「蛍」とそのまま詠むのに比べて、静けさや幽玄な雰囲気を強く演出できるのが特徴です。激しく乱舞する姿よりも、水辺の草むらに静かにとどまり、瞬いている光の健気さや儚さに焦点を当てると季語の味わいが生きてきます。周囲の暗闇や静寂、川のせせらぎといった聴覚や視覚の要素と対比させることで、小さな灯火のような光の美しさを際立たせるのが作句のポイントです。
・水音(みずおと)、小川、沢(無季) ・漆黒、夜気(無季) ・微光、かすか、瞬く(無季) ・川風(夏の季語) ・青葉、下草(夏の季語)