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「天津桃(てんしんとう)」は、中国の天津地方から日本へ渡来したとされる桃の品種、あるいは中国系の晩生種の桃を指す秋の季語です。夏のみずみずしい「水蜜桃(すいみつとう)」に比べると、小ぶりで果肉が硬く締まっており、独特の甘い芳香と濃厚な風味が特徴です。秋が深まりゆく頃に出回るため、夏の桃のような爽快感や派手さとは異なり、落ち着いた秋の気配や、異国情緒・哀愁を漂わせる果実として古くから文人俳人に愛されてきました。
夏の桃が「滴る果汁」や「真夏の涼」を想起させるのに対し、秋の天津桃は「夜の静けさ」「実の重み」「硬い果肉を刃物で剥く手触り」といった陰影のある情景によく馴染みます。また、「天津」というエキゾチックな響きを活かして、大陸への想いを馳せたり、どこか懐かしい生活感や夜の室内の落ち着いた灯りと取り合わせたりすると、秋ならではの風情や陰影を効果的に演出できます。
・五感の言葉:夜更け、刃先、皮を剥く、掌の重み、芳香、硬し ・室内の情景:白磁の皿、机上、灯影、夜汽車、旅情 ・季節感のある言葉:秋深し、秋灯、夜寒、更くる夜