秋卒

秋卒

あかえんば

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意味・由来

「秋卒(あかえんば)」とは、秋に見られる赤とんぼ(アキアカネなど)を指す伝統的な季語です。「えんば」は古くから東国を中心に使われていた蜻蛉(トンボ)の方言・古称であり、赤く色づいたトンボの姿を親しみを込めて「赤えんば(秋卒)」と呼び習わしました。夏場に高山など涼しい山地で過ごしたアキアカネが、秋風とともに成熟して鮮やかな赤色となり、大群をなして里へ下りてくる情景は、日本の秋を代表する叙情豊かな風物詩です。

この季語で詠むコツ

「赤とんぼ」という一般的な語に比べて、「秋卒(あかえんば)」という表記・響きには雅味や民俗的な懐かしさ、素朴な味わいが宿ります。茜色の体色そのものの美しさだけでなく、どこか物悲しさを誘う夕暮れの光線、群れ飛ぶ軽やかな動き、あるいは杭や竿の先、草の葉にとまって静止する一瞬の静寂を捉えると効果的です。視覚的な鮮烈さと、深まりゆく秋の愁いを対比させて詠むのがコツです。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 空・光: 「夕茜」「秋晴」「夕日」「澄む空」
  • 里山の風景: 「刈田」「畦道」「野菊」「竿の先」「藁塚」
  • 静けさ・動作: 「とまる」「群る」「風に乗る」「影淡し」

秋卒」の俳句例 (3件)

赤ゑんば水に尾をうつ昼間かな
内藤丈草【現代語訳】秋の赤とんぼが水面に尾をちょんちょんと打ちつけて産卵している、のどかな昼下がりであることよ。 【鑑賞】澄んだ秋の水辺で、赤とんぼが命を繋ぐために産卵する姿を穏やかな昼の光の中で捉えています。静寂の中に響く小さな水音まで感じられるような、丈草らしい温もりと静けさに満ちた名句です。
赤蜻蛉とまるや竿のさき高し
正岡子規【現代語訳】赤とんぼが一匹、物干し竿の先端にとまった。その竿の先は青空高く突き出ている。 【鑑賞】どこにでもある日常の風景を写生しながら、高い竿の先端にちょこんととまる赤とんぼの姿を通して、背景に広がる秋の空の高さと澄みきった広がりを立体的に描き出しています。
赤ゑんば筑波に雲もなかりけり
宝井其角【現代語訳】赤とんぼが澄み渡る空を飛び交い、遠くに見える筑波山には一点の雲もないことだ。 【鑑賞】秋晴れの抜けるような大空と、遠景の筑波山の雄大さ、そして眼前に群れ飛ぶ小さな「赤ゑんば」の朱色の対比が見事な一句です。江戸の秋の澄明な空気感が爽やかに表現されています。

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