甜菜

甜菜

てんさい

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意味・由来

「甜菜(てんさい)」はヒユ科(旧アカザ科)の二年生草本で、別名を「砂糖大根(さとうだいこん)」や「ビート」とも呼ばれます。ダイコンやカブに似た白く肥大した根に多量のショ糖を含み、サトウキビと並ぶ代表的な砂糖の原料植物です。冷涼な気候に適しているため、日本では主に北海道で大規模に栽培されています。秋深まる十月から十一月にかけてが収穫の最盛期となり、巨大な根が掘り起こされ、山積みとなって製糖工場へ運ばれます。雄大な北国の大地の恵みと、冬の到来を間近に控えた晩秋の実りを象徴する季語です。

この季語で詠むコツ

甜菜を詠む際は、北海道ならではのスケール感や、北国の冷涼な空気感を捉えるのがポイントです。土から掘り出された無骨で力強い根の質感、畑の片隅や駅頭に巨大な丘のように積み上げられた姿、それを運ぶ大型トラックや貨車など、ダイナミックな視覚的要素を活かすと効果的です。また、収穫期はすでに肌寒く、初雪が近い季節でもあります。冴え返る秋晴れや、大平原を吹き抜ける冷たい風の感触など、晩秋から初冬へ向かう季節の推移を五感で描写すると、深みのある一句になります。

相性のいい言葉・取り合わせ

・地勢・風土:平野、大地、十勝、北国、畑、泥、土 ・運搬・収穫:掘る、山、積む、貨車、トラック、工場、駅 ・気候・情感:秋日和、秋晴、秋深し、秋風、夕日、冷まじ

甜菜」の俳句例 (3件)

甜菜の山積む駅や秋日和
阿波野青畝【現代語訳】収穫された甜菜が駅頭にうずたかく積まれている、からりと晴れ渡った秋晴れの佳き日であることよ。 【鑑賞】北国の駅頭に集められた大量の甜菜の山と、澄み渡る「秋日和」の空の対比が鮮やかです。収穫期を迎えた大地の実りと活気、そして爽快な大気の清々しさが素直な写生の中に生き生きと捉えられています。
甜菜の山をめぐりて秋の風
阿部みどり女【現代語訳】積み上げられた甜菜の巨大な山のまわりを巡るように、涼しく澄んだ秋の風が吹き抜けていく。 【鑑賞】北海道の風土を数多く詠んだ阿部みどり女の句です。大平原に築かれた甜菜の山はそれ自体が一つの丘のような存在感を放ちます。その無骨な山を撫でるように吹き抜ける秋風に、季節が足早に冬へと向かっていく涼やかさと一抹の寂寥が漂います。
甜菜の山に夕日のとどまりぬ
木下夕爾【現代語訳】うずたかく積まれた甜菜の山に、傾いた秋の夕日が赤々といつまでも残っている。 【鑑賞】秋の日はつるべ落としと言われますが、収穫された甜菜の巨大な白い山には夕日の光がひときわ明るく照り映えています。大地の収穫物と夕日の色彩の調和が美しく、一日が終わろうとする静謐な時間を温かく描き出しています。

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