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木下夕爾

きのしたゆうじ

作風・特徴

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代表句 (6件)

サフランの咲くべく窓のあけらるる
季語: 秋咲きサフラン (autumn)
【現代語訳】そろそろサフランが咲く頃だろうと、庭に向かって窓が開けられることだ。 【鑑賞】晩秋の光と風を部屋へ迎え入れるとともに、今か今かと開花を心待ちにする主人の優しい眼差しが感じられます。日常の何気ない所作の中に季節の訪れを捉えた叙情豊かな作品です。
稲熱田のくれゆく風に立ちつくす
季語: 稲熱田 (autumn)
【現代語訳】病に冒された稲の田に、日が暮れて吹き抜ける冷たい風を受けながら、ただ呆然と立ち尽くしている。 【鑑賞】丹精込めて育てた稲が無情にも枯れていく様を前にして、言葉を失い立ち尽くす人物の心情が痛切に伝わってきます。暮色と風の冷たさが、農の厳しさと深い失意を際立たせています。
水蜜桃剥けばあふるる夕茜
季語: 水蜜桃 (autumn)
【現代語訳】水蜜桃の薄皮を剥くと、夕暮れの茜色の光が一面に溢れ出してくるようだ。\n【鑑賞】桃の淡い紅色と、部屋に差し込む夕焼けの茜色が溶け合うような幻想的な美しさを捉えています。桃を剥くという日常の動作から、夕暮れの豊かな抒情へと一気に視界が広がる一句です。
二十世紀皮剥きゆけばみどりさす
季語: 二十世紀 (autumn)
【現代語訳】二十世紀梨の皮をくるくると剥いていくと、果肉の表面にうっすらと淡い緑色が差して見える。 【鑑賞】果物ナイフで皮を剥く静かな所作と、刃の通ったあとに現れるほのかな青みを捉えた繊細な作品です。「みどりさす」という詩的な表現に、秋の澄んだ空気と梨の清冽な生命感が美しく凝縮されています。
天蓋花いま咲き出でてあかねさす
季語: 天蓋花 (autumn)
【現代語訳】天蓋花がちょうど今咲き出して、夕暮れの空が茜色に美しく照り映えている。\n【鑑賞】夕空の茜色と、咲き出たばかりの天蓋花の鮮烈な紅色が呼応し、秋の夕景の崇高な美しさを描き出しています。「あかねさす」という枕詞的な響きが、天蓋花の神聖な雰囲気を際立たせています。
甜菜の山に夕日のとどまりぬ
季語: 甜菜 (autumn)
【現代語訳】うずたかく積まれた甜菜の山に、傾いた秋の夕日が赤々といつまでも残っている。 【鑑賞】秋の日はつるべ落としと言われますが、収穫された甜菜の巨大な白い山には夕日の光がひときわ明るく照り映えています。大地の収穫物と夕日の色彩の調和が美しく、一日が終わろうとする静謐な時間を温かく描き出しています。