台風

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意味・由来

「台風」は、初秋から仲秋にかけて日本列島を襲う熱帯低気圧のことです。古くは「野分(のわき/のわけ)」と呼ばれ、平安文学のころから激しい秋風の情景として詠まれてきましたが、気象用語としての「台風(颱風)」が普及して以降、現代俳句でも強力な秋の季語として定着しました。自然の猛威、緊迫感、そして通過した後の独特な静寂や清々しさ(台風一過)まで、多彩な表情を持つ季語です。

この季語で詠むコツ

風雨の凄まじさを大げさに描写するだけでなく、「人間側の日常の営みや心理」と対比させると効果的です。例えば、雨戸を閉め切った室内の静けさ、停電の灯り、通り過ぎた後の青空、避難の準備をする家族の様子など、身の回りの具体的なディテールに目を向けると、臨場感と深みが生まれます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・日常の動作(戸締まり、備え、乾かす、灯す、待つ) ・気象の変化(台風の眼、暴風圏、台風一過、気圧、静寂) ・生活空間(雨戸、窓ガラス、電燈、蝋燭、ベランダ)

台風」の俳句例 (3件)

台風圏にいつちよの傘を乾しにけり
草間時彦【現代語訳】台風の影響圏内にいる中で、たった一本きりの愛用の傘を広げて乾かしていることだ。【鑑賞】「いつちよ(一丁)」という俗語的表現が効いており、大自然の猛威である台風に対して、たった一本の傘で暮らす庶民の哀愁とユーモアが軽妙に描かれています。
台風の眼に入りて街の明るさよ
西東三鬼【現代語訳】台風の眼に入った途端、それまでの暴風雨が嘘のように街に光が差し込み、明るくなったことよ。【鑑賞】暴風雨の真ん中に存在する一瞬の無風と静寂、そして射し込む光のコントラストを鮮烈に捉えています。不気味なほどの明るさが読む者に強い印象を残します。
台風の圏外ながら風激し
山口青邨【現代語訳】台風の直接の暴風圏外であるにもかかわらず、吹きつける風は非常に激しい。【鑑賞】気象情報と実際の体感を冷静に重ね合わせた句です。直接の進路から外れていてもなお自然の脅威を感じさせる、台風という存在のスケールの大きさを実感させます。

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