猪茸

猪茸

ししたけ

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意味・由来

猪茸(ししたけ)は、秋の深山に生える大型の食用きのこで、一般には「コウタケ(香茸)」とも呼ばれます。傘の表面にささくれたような粗い鱗片が密生しており、その無骨で荒々しい見た目が猪の剛毛や皮膚を思わせることから名付けられました。見た目は黒褐色で少々不気味ですが、非常に強い芳香と独特の旨味を持ち、乾燥させると香りが一段と増すため、きのこ飯やお吸い物などの高級食材として古くから珍重されています。

この季語で詠むコツ

猪茸を詠む際は、その「圧倒的な芳香」や「深山ならではの野趣・重量感」に着目するのがポイントです。見た目のごつごつとした野性味や、乾燥させて台所に吊るしたときの強い匂い、山深い集落の暮らしの気配などを具体的に捉えると、秋の深まりや自然の力強さが生き生きと立ち上がります。

相性のいい言葉・取り合わせ

・香りや調理の様子(香、匂ひ、燻す、炙る、厨、山家) ・山の風景や気候(深山、沢、木枯、日暮れ、冷まじ) ・五感に訴える語(黒し、剛毛、乾く、土の香)

猪茸」の俳句例 (3件)

猪茸の香にむせぶ日の暮れにけり
飯田蛇笏【現代語訳】猪茸の強烈な香りに息が詰まるような感覚を覚えているうちに、山の秋の日はあっという間に暮れてしまった。【鑑賞】猪茸特有の濃厚で立ち込めるような芳香を「むせぶ」と大胆に捉え、山のつるべ落としの夕暮れと響き合わせた重厚な名句です。
猪茸の匂ひみちたる厨かな
富安風生【現代語訳】猪茸の独特で強い香りが、台所いっぱいに充満していることだ。【鑑賞】山から持ち帰った、あるいは乾燥させた猪茸を調理しようとしている場面です。台所いっぱいに広がる香気から、秋の実りの豊かさと山里の暮らしの温もりが感じられます。
猪茸のひからびてゐる小店かな
清崎敏郎【現代語訳】山沿いの小さな店先に、乾燥した猪茸が無造作に干からびて並んでいることだ。【鑑賞】生ではなく干した猪茸(乾物)が吊るされている素朴な山間の売店の情景を淡々と描写しています。乾いてなお強い香りを放つ猪茸の存在感が、静かな旅情を誘います。

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