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「茂し(しげし)」は、初夏から夏にかけて草木の葉が生い茂り、緑が鬱蒼と重なり合う様子を表す夏の季語です。植物そのものの色合いを愛でる「青葉」や「若葉」に比べ、「茂し」は生命力があふれんばかりに膨らみ、空間を覆い尽くすような密度の濃さや量感、生い茂る勢いに焦点があります。もともとは古語の形容詞「茂し」に由来し、古くから和歌でも親しまれてきましたが、俳句では草木が光を遮るほどの力強さや、その下につくられる深い緑の陰影を捉える言葉として愛用されています。
単に「草木が生い茂っている」と情景を説明するだけでは、季語の持つ力強さが十分に伝わりません。茂みによって何が起きているか、あるいは茂みの向こうに何があるのかに目を向けましょう。例えば、濃い葉叢が遮る「陽光の強さ」や「深い暗がり」、茂みを通る「風のざわめき」、隠れそうな「小道」や「石仏」など、対比となる光景や感覚を合わせると奥行きが生まれます。「茂り」「茂る」と動詞や名詞の形で使われることも多く、五七五のリズムに合わせて活用させるのも効果的です。
・石段、小道、土塀、古寺(人工物と自然の対比) ・木陰、暗がり、木漏れ日(光と影の演出) ・せせらぎ、井戸、雫(涼しさや水気の強調) ・風の音、鳥の声、靴音(茂みの奥から聞こえる音)