渋糟

渋糟

しぶかす

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意味・由来

「渋糟(しぶかす)」とは、青く未熟な渋柿を搗(つ)き砕いて「柿渋(かきしぶ)」を搾り取った後に残る、繊維質の搾りかすのことです。柿渋は古くから防腐・防虫・防水用の天然塗料として、和傘や魚網、うちわ、木桶などに広く重宝されてきました。秋になると農村や染物工房などで一斉に渋絞りが行われ、庭先や道端に赤黒く山積みにされた渋糟は、独特の渋い匂いとともに秋の深まりを告げる日常の風物詩でした。

この季語で詠むコツ

渋糟は、どこか泥臭く素朴な生活感や、秋の哀愁を醸し出す季語です。搾りかす独特の乾ききらない湿り気、赤黒い色合い、発酵するような独特の匂い、そして山積みにされた庭の情景など、五感(視覚・嗅覚・触覚)を刺激する描写を取り入れると深みが出ます。生活の営みや農村の静けさ、秋の日差しの温もり・傾きと対比させると効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 日差し・光(「秋日」「日影」「夕日」「日溜り」など)
  • 庭の風景・生き物(「犬」「鶏」「垣根」「庭隅」など)
  • 天候・空気(「時雨」「秋風」「冷やか」「匂ひ」など)

渋糟」の俳句例 (3件)

渋糟やむく犬の寝る日の当り
与謝蕪村【現代語訳】庭に積まれた渋糟のそばで、毛むくじゃらの犬が秋の穏やかな日だまりの中に寝そべっている。 【鑑賞】農家の庭先でのんびりとした秋の日常を切り取った一句。赤黒く積まれた渋糟と、秋の日差しを浴びて丸くなる犬の姿が、素朴で温かみのある絵画的な風景を描き出しています。
渋糟の乾くひまなく時雨けり
野沢凡兆【現代語訳】庭に広げた渋糟がすっかり乾く間もなく、秋の時雨が次々と降ってくることだ。 【鑑賞】乾かそうとする渋糟と、降り止まない秋の時雨の湿り気が見事に対比されています。晩秋の冷たい雨空と、日々の作業に追われる生活の慌ただしさ・やるせなさがリアルに感じられます。
渋糟に日影残りて秋暮れぬ
各務支考【現代語訳】山積みの渋糟にわずかな夕日の光が残るなか、秋の日はあっけなく暮れていく。 【鑑賞】渋糟の赤黒い質感に落ちる最後の夕日と、急速に訪れる秋の夕暮れの寂しさを詠んでいます。「日影残りて」という一瞬の光の捉え方が、秋の終わりの深い余韻を演出しています。

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