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「千振(センブリ)」は、日本各地の日当たりのよい山野に自生するリンドウ科の二年草です。秋に星形の可憐な白紫色の花を咲かせます。千回振り出しても(煎じても)まだ苦味が残るということから「千振」と名付けられ、古くから胃腸薬や健胃の民間薬「当薬(とうやく)」として重宝されてきました。 開花期の秋に草全体を根ごと抜き取り、水洗いして束ね、軒先や縁側などに吊るして陰干しにする作業を「千振干す」といい、秋の生活(人事)の季語となっています。素朴な山里の生活風景や、薬草の独特な苦味、晩秋の静かな日差しを想起させる季語です。
干されているセンブリそのものの形状(小さな花をつけたまま干される様子)や、それを包む秋の日差しの柔らかさ、そして「苦味」という五感に訴えかける要素を意識するのがポイントです。 薬草を干すという実用的な暮らしの営みを通じて、山里の静けさ、家族の健康を気遣う温もり、あるいは深まりゆく秋の物寂しさを丁寧にすくい取ると深みのある句になります。
・場所・生活空間:軒端(のきば)、縁側、障子、土間、薬研(やげん)、山里 ・光・風情:秋日、夕日、うす日、日溜まり、陰(かげ)、小春日 ・感覚的な言葉:苦き香、束ねて、括りて、乾きゆく、静けさ
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