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「莎鶏(さやけい)」は、キリギリス(またはクツワムシやハタオリ)の異称であり、中国最古の詩集『詩経』の「幽風・七月」に見られる「六月莎鶏振羽(六月に莎鶏羽を振るう)」という記述に由来する格調高い秋の季語です。「莎」はハマスゲなどの草、「鶏」は鳴く虫を鳥に喩えたもので、草の中で羽を擦り合わせて機織りのような音を響かせる虫を指します。和語の「きりぎりす」や「はたおり」と比べて漢語特有の雅やかさや古風で硬質な響きを持ち、秋の深まりや静寂を深沈と演出する際に用いられます。
漢詩の伝統を引く雅名であるため、句全体に静謐さや文人趣味、知的な落ち着きを持たせるのが効果的です。単に虫の姿形を写生するだけでなく、更けゆく秋の夜の澄んだ空気感や、かすかな物音に耳を澄ます孤独感、机に向かう時間などを詠み込むと「莎鶏」という言葉の持つ古典的な情緒が引き立ちます。また、和語主体の柔らかい表現の中にこの季語を据えることで、心地よい緊張感を生むことができます。
・書斎や静寂を連想させる言葉(草双紙、机、灯火、古書、筆) ・秋の夜の気配(夜寒、露、月影、障子、夜半) ・草木や庭の情景(庭草、籬、露けし、叢)
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