猿酒

猿酒

さるざけ

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意味・由来\n「猿酒(さるざけ)」とは、猿が木の洞(うろ)や岩の窪みに集めて蓄えた山葡萄や木の実が、雨水などを交えて自然に発酵し、芳醇な酒のようになったとされる伝説上の酒のことです。別名「ましら酒」とも呼ばれます。科学的に実際に存在するかどうかよりも、深山幽谷の自然が醸し出す神秘性や野趣、風流な幻想を象徴するロマンあふれる秋の季語です。\n\n### この季語で詠むコツ\n猿酒は空想・伝承の要素が強い季語であるため、現実の風景をただ描写するだけでなく、山深い静寂、ほのかに漂う甘い発酵の匂い、あるいは昔話のようなユーモアを添えると魅力的な句になります。「深山」「岩陰」「雫」といった山の景色のなかに、知られざる自然の恵みや不思議さを潜ませるように詠み込むのがコツです。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n- 地形・場所:岩窪(いわくぼ)、木の洞(うろ)、深山(みやま)、吉野、谷\n- 感覚・情景:雫、芳香、ほの甘し、ほの暗し、風の音、夕暮れ\n- 動植物・自然:木の実、山葡萄、蔦、苔、霧、山の神

猿酒」の俳句例 (3件)

猿酒の匂ひもすらん秋の風
上島鬼貫【現代語訳】吹き渡る秋の風のなかに、どこか遠くで醸されている猿酒の芳しい匂いまでも混じっているかのようだ。【鑑賞】秋風の心地よさと山の豊かな実りを嗅覚のイメージで捉えた一句。目には見えない伝説の酒の香りを風に感じるという、風流で軽やかな感性が光ります。
猿酒や吉野の奥の奥ならむ
正岡子規【現代語訳】幻の猿酒があるとするならば、山深い吉野のさらに奥の奥深くの秘境なのだろう。【鑑賞】修験の地でもあり山深い吉野の神秘性と「猿酒」という伝説の酒を取り合わせ、人里離れた深山の静けさと幽玄な秋の気配を見事に描き出しています。
猿酒に酔ふて寝たるか山の神
小林一茶【現代語訳】静まり返った山を見ていると、山の神様が猿酒にすっかり酔っ払って寝入ってしまったかのようだ。【鑑賞】秋の深山の静寂を、山の神が猿酒に酔って眠っているという愛嬌ある擬人化で表現した一茶らしい温かみとユーモアに満ちた句です。

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