さる柿

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さるがき

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意味・由来

「さる柿(猿柿)」とは、山野に自生する野生の柿(山柿)のことです。栽培されている柿に比べて実が小粒で、強い渋みを持つのが特徴です。名前に「猿」とつくように、人里離れた山中で猿や鳥などの山の生き物が食べる柿、あるいは小ぶりで人が見向きもしない柿という意味合いが込められています。晩秋になると葉が落ち、小粒で赤黒い実だけが枝に残ったり、地面にぽろぽろと落ちたりする姿は、深まる秋の寂寥感や山里の鄙びた風情を色濃く漂わせます。

この季語で詠むコツ

豊かに実る大きな柿の華やかさとは対照的に、さる柿は「小ささ」「野趣」「寂しさ」を描くのに適しています。深山の静けさ、谷底の深さ、木枯らしが吹き抜ける梢の寒々しさなど、晩秋の厳しい自然環境と対比させると効果的です。また、実が小さく硬いことから、地面や岩の上に「落ちる音」や「転がる様子」といった聴覚・視覚的なディテールに焦点を当てると、情景が鮮やかに立ち上がります。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 自然・地形:山路、谷底、岩、古道、梢、木枯らし
  • 静寂・動作:こぼるる、落ちる、音なき、転がる、朽ちる
  • 山里の情景:古寺、炭窯、柴折り、苔

さる柿」の俳句例 (3件)

猿柿のこぼるる音や谷深し
夏目漱石【現代語訳】さる柿の実がぽろりと落ちるかすかな音が響き渡り、この谷の深さと山中の静けさが身に染みて感じられる。 【鑑賞】深山幽谷の静寂を、小さなさる柿が落ちるわずかな「音」によって見事に表現した一句です。視覚的な谷の深さと聴覚の鋭敏さが響き合い、晩秋の張り詰めた空気感が伝わってきます。
猿柿や落ちて小石と見分け難し
正岡子規【現代語訳】山道に落ちているさる柿は、あまりに小さく黒ずんでいて、小石と見分けるのが難しいほどだ。 【鑑賞】さる柿の小ささや野趣あふれる無骨さをユーモラスかつ的確に観察した一句です。立派な柿とは異なる野生の柿のありのままの姿を、日常的な視点から素直に詠み留めています。
猿柿の落ちつくしたる梢かな
高浜虚子【現代語訳】小さなしぶ柿の実もすべて地面に落ち尽くしてしまい、梢はすっかり寒々とした冬枯れの姿になっている。 【鑑賞】秋から冬への移ろいを捉えた写生句です。木に残っていたさる柿がすべて落ち去った梢を見上げることで、深秋の荒涼とした寂しさと、冬の訪れの気配を端的に描写しています。

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