坂鳥

坂鳥

さかどり

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意味・由来

「坂鳥(さかどり)」とは、秋に山坂や峠を越えて群れをなして渡っていく鳥たちのことです。古くから旅人が山越えをする際、険しい峠道や尾根筋を颯爽と、あるいは寂しげに飛び交う小鳥たちの姿に季節の深まりを感じて詠まれてきました。ヒヨドリやツグミなどの渡り鳥が南へ向かう姿が代表的ですが、山道の静けさや峠の風情と結びつき、旅情や孤独感、秋の冷涼な空気感を象徴する季語として愛されています。

この季語で詠むコツ

山深い峠道という立体的な空間や、鳥が急峻な坂を飛び交う「動」と、秋の山の「静」の対比を描くのがポイントです。単に鳥の姿を描写するだけでなく、旅人の視点に立って、山肌を渡る冷たい風や薄れゆく夕日、雲や霧といった自然現象と重ね合わせることで、秋の深まりと心細さ(旅情)を豊かに表現できます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 地形・道: 峠(とうげ)、尾根、切通し、坂道、山路、茶屋
  • 気象・情景: 霧、夕霧、峰の雲、秋風、夕日影、木枯らし
  • 聴覚・感覚: 羽音、風の音、鈴の音、冷気、静寂

坂鳥」の俳句例 (3件)

坂鳥や雲より落ちて杉の梢
与謝蕪村【現代語訳】峠を越えてゆく坂鳥が、垂れ込める雲の間から急降下するように舞い降りて、杉の木の梢にとまった。 【鑑賞】雲の立ち込める山深い峠の情景を、鮮やかな動態で捉えた一句です。高い雲から杉の梢へと一直線に落ちてくる鳥のスピード感と、秋の山の張り詰めた冷気が見事に調和しています。
坂鳥の空ゆく音や秋の風
正岡子規【現代語訳】山坂を越えて空を渡っていく鳥たちの羽音が聞こえる、吹き抜ける秋風とともに。 【鑑賞】姿を直接描くのではなく、「空ゆく音」という聴覚的なアプローチで捉えています。秋風の冷涼な響きと群れて飛ぶ鳥の羽音が重なり合い、澄み渡った秋の山の寂寥感が際立つ名句です。
坂鳥や雲行く山の一軒家
正岡子規【現代語訳】坂鳥が飛び交い、ちぎれ雲が流れていく険しい山道に、ぽつりと一軒の家が見えている。 【鑑賞】動く「坂鳥」と「雲」に対して、静かに佇む「一軒家」を対比させた構成美が光ります。人里離れた峠の険しさと、旅の途中で見出す秋の寂寞とした情緒が素朴かつ力強く描かれています。

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