御山洗

御山洗

おやまあらい

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意味・由来

「御山洗(おやまあらい)」とは、富士山をはじめとする霊峰の山じまい(陰暦七月二十六日頃、現在の八月下旬〜九月上旬頃)の前後に降る強い雨のことです。夏山シーズンに多くの登拝者で賑わった霊山を、神聖な雨が洗い清め、元の静寂な神の領域へと戻すという信仰心から生まれた風情ある季語です。夏の終わりと初秋の訪れを告げる雨でもあります。

この季語で詠むコツ

山そのものの姿が見えなくなるほどの激しい雨脚や、雨によって急激に冷え込んでいく麓の気候の変化を描くと効果的です。また、夏の喧騒が去った後の寂寥感や、山に対する畏敬の念、麓の町の静けさなどを取り合わせることで、単なる秋の雨秋雨)とは異なる「霊峰を清める雨」としてのドラマ性を際立たせることができます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・麓、裾野、宿場、鳥居、茶屋 ・音(激しき、夜明、暮るる、籠る) ・肌寒、湯加減、灯(ともしび)、霧

御山洗」の俳句例 (3件)

御山洗ふ雨となりけり富士の裾
詠み人知らず【現代語訳】富士の裾野に降る雨は、まさに山を清める御山洗の雨となったことだ。【鑑賞】富士山の麓に降り始めた雨を仰ぎ見ながら、登山の季節が終わり、秋の気配が本格化してきた感慨をストレートかつ格調高く詠み上げた一句です。
御山洗ふ雨の音して夜が明くる
角川源義【現代語訳】山を洗い清める強い雨音が響く中、静かに秋の夜が明けてゆく。【鑑賞】視覚ではなく「雨の音」に焦点を当てることで、夜明けの冷気と霊峰の静寂さが際立ちます。季節の移ろいに対する厳粛な心持ちが伝わってくる名句です。
御山洗ふ雨のはげしき夜明かな
高浜年尾【現代語訳】山を洗い流す雨の激しい音を聞きながら迎えた、印象深い夜明けであることよ。【鑑賞】容赦なく降りしきる激しい雨の勢いが、山に積もった夏の穢れをことごとく洗い流していくかのようです。自然の力強さと秋の訪れの峻烈さを写生しています。

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