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「苧の実(おのみ)」は、イラクサ科の多年草である苧(からむし/苧麻)が秋に結ぶ小さな果実(種子)のことです。苧は古くからその茎の皮から強靭な繊維を採り、上布などの織物や縄を作るために日本各地で栽培されてきました。夏に淡緑色の細かな花を咲かせた後、秋になると円形に集まった微小な粒状の実を稔らせます。目立つ華やかさはありませんが、素朴な野の風情や、古代から人々の暮らしを支えてきた生活の歴史、そして秋の深まりを感じさせる侘びた趣のある季語です。
苧の実は非常に小さく、草むらや庭の片隅、山野の道端などでひっそりと実ります。そのため、派手な情景を描くのではなく、静寂感や素朴な暮らしの佇まい、秋の夕暮れの哀愁などに焦点を当てると季語の持ち味が引き立ちます。実が熟してぽろぽろと零れ落ちる様子や、秋風に揺れる繊細な動きを捉えると、より実感のこもった句になります。
・自然・天候:秋気、夕日、野風、時雨、露、日暮れ ・場所・環境:古寺、庵、垣根、山路、野川、畑の隅 ・動作・状態:零る(こぼる)、実る、熟る、揺るる、踏む
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