名の木の紅葉

名の木の紅葉

なのきのもみじ

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意味・由来

「名の木の紅葉(なのきのもみじ)」とは、ウルシ科の落葉高木である「楷(かい)の木」が秋に見せる見事な紅葉のことです。中国の山東省曲阜にある孔子の墓所(孔子廟)に弟子の子貢が植えたとされることから「孔子木(こうしぼく)」や「学問の木」とも呼ばれます。日本には大正時代に中国から種子が持ち込まれ、日本最古の庶民学校である岡山県の旧閑谷(しずたに)学校などに植えられて名所となりました。若葉が食用(茶の代用や菜)にされたことから「菜の木(名の木)」と呼ばれ、整然とした枝葉の姿から「楷書」の語源になったとも言われています。晩秋になると、木によって燃えるような深紅や鮮やかな黄色へと一本ごとに美しく染め分けられるのが大きな特徴です。

この季語で詠むコツ

「名の木の紅葉」を詠む際には、一般的な紅葉狩りとは異なる「格式の高さ」や「知性・歴史の重み」を意識すると深みが出ます。孔子ゆかりの木であることから、学び舎や瓦屋根、石垣といった建造物とのコントラストがよく映えます。また、楷の木は葉が規則正しく並ぶ端正な美しさを持つため、遠景の大樹の迫力だけでなく、端正な枝ぶりや葉の一筋一筋に注ぐ秋の清らかな光に焦点を当てるのも効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

・学問・歴史に関する言葉(講堂、学舎、石段、扁額、論語、古瓦など) ・色彩・光に関する言葉(青空、深碧、夕日、照り映ゆ、金紅など) ・静寂や格調を表す言葉(静もり、澄む、厳か、仰ぐなど)

名の木の紅葉」の俳句例 (3件)

楷紅葉晴天の気を吸ひ尽し
柴田白葉女【現代語訳】楷の木の紅葉が、どこまでも澄み切った秋の晴天の精気を一滴残らず吸い尽くしたかのように、鮮烈に輝いている。【鑑賞】吸い込まれそうな青空と、それを一身に浴びて鮮やかに色づく楷(名の木)の紅葉との壮大な対比が見事な一句です。大樹が持つ圧倒的な生命力と、秋の澄んだ大気の清々しさが力強い言葉で描かれています。
楷紅葉照るや講堂いまもなほ
阿波野青畝【現代語訳】美しく色づいた楷の木の紅葉が、かつての学び舎である講堂を、今この時も変わることなく厳かに照らしている。【鑑賞】旧閑谷学校を詠んだ格調高い名句です。かつて学問に励んだ人々がいた講堂と、時を超えて今なお秋ごとに鮮やかに照り映える楷紅葉の姿を重ね合わせ、歴史の悠久さと学問への敬意を静かに伝えています。
楷紅葉天の深嶺を指す如く
高浜年尾【現代語訳】見事に紅葉した楷の木の枝先が、まるで天高くそびえる峰の頂を指し示しているかのように真っ直ぐに伸びている。【鑑賞】「楷書」の語源にもなったとされる楷の木の、狂いなく整然と天に向かって伸びる枝振りと凛とした立ち姿を捉えています。紅葉の美しさだけでなく、大樹が持つ端正な骨格と求道的な厳しさが端的に表現されています。

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