菜間引く

菜間引く

なまびく

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意味・由来

「菜間引く(なまびく)」は、秋に大根や蕪、小松菜などの種を蒔いた後、密集して生えそろった若芽のうち、育ちの悪いものを間引いて株と株の間隔を整える作業を指す秋の季語です。間引いた幼い若菜は「間引き菜」と呼ばれ、お味噌汁の具やおひたしとして無駄なく食卓に上がります。豊かな収穫を迎えるための欠かせない農作業でありながら、選別して命を摘み取るという少しの切なさや、土と新芽の爽やかな青々しさを感じさせる情感豊かな季語です。

この季語で詠むコツ

畑での手作業に焦点を当てるため、指先の感覚や土の匂い、青い草の香りをリアルに描写すると臨場感が出ます。間引く作業の「選別の哀れさ」に寄り添うのも一興ですが、虚子のように淡々と命の循環として捉える視点も俳味を生みます。また、作業をする夕暮れ時の光、冷たさを増してきた秋風、しゃがみこむ人の姿勢など、視覚や触覚のディテールを巧みに組み合わせることで、秋の実りと労働の美しさを鮮やかに表現できます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・身体感覚や五感の語:「指の先」「土の香」「青み」「爪」「濡るる」 ・秋の気配・時間帯:「夕日」「秋風」「夕暮れ」「暮色」「雲」 ・生活感のある具象物:「笊(ざる)」「畝(うね)」「井戸水」「台所」

菜間引く」の俳句例 (3件)

菜間引くやあはれと思ふ事も無く
高浜虚子【現代語訳】青菜の芽を間引いているが、間引かれる小さな命を可哀想などと同情することもなく、淡々と手を動かしている。 【鑑賞】命を淘汰する作業に対して感傷に浸るのではなく、客観写生と自然の営みの冷徹さをありのままに捉えた虚子らしい潔い一句です。
菜間引いて土の匂ひの指の先
高橋淡路女【現代語訳】菜を間引き終わると、自分の指先から瑞々しい土の匂いが立ちのぼっている。 【鑑賞】間引きを終えたあとの指先に残る湿った土と青菜の香りを、鋭い嗅覚と触覚で描写しています。秋の農の温かみと実感が伝わる名句です。
菜間引いて指の青さを洗ひけり
臼田亜浪【現代語訳】菜を間引く作業を終え、若葉の露や汁で青く染まった指先を、冷たい水で洗い流した。 【鑑賞】作業中の手元の青さ、そしてそれを水で洗い落とす清潔な感覚が鮮やかです。秋の澄んだ水と青菜の生命力が爽快な残像をもたらします。

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