薯蕷
autumn 生活

薯蕷

ながいも

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意味・由来

薯蕷(ながいも・とろろ・やまいも)は、秋に収穫期を迎えるヤマノイモ科のつる性多年草です。古くから滋養強壮に優れた食材として重宝され、すりおろして「とろろ」にしたり、麦飯にかけたり、汁物にしたりして親しまれてきました。野生のものは「自然薯(じねんじょ)」とも呼ばれ、掘り出すのには大変な労力を要します。秋の土の香りと、大地の豊かな恵みを象徴する、素朴で力強い生活感の漂う季語です。

この季語で詠むコツ

薯蕷を詠む際には、収穫の際の大地との格闘や土の匂い、あるいは調理する際のごつごつとした手触りやすり鉢の音など、五感を刺激する具体的な描写を取り入れるのがコツです。また、とろろ飯を豪快にすする滑稽味や、食卓を囲むぬくもりなど、人間の営みや生活感に引き寄せて詠むと、より一層親しみやすい句に仕上がります。

相性のいい言葉・取り合わせ

・動作:掘る、擦る、すする、担ぐ、探る ・事物:すり鉢、麦飯、土、長鍬、ひげ根、山路 ・感覚:粘り、白き、温か、泥くさき、喉越し

薯蕷」の俳句例 (3件)

薯蕷汁すするや髭のしづく迄
詠み人知らず【現代語訳】とろろ汁をごちそうになり、勢いよくすすっていると、私の立派な髭の先までとろろのしずくがしたたり落ちるほどであるよ。 【鑑賞】旅先でふるまわれた素朴なとろろ汁を、遠慮なく豪快に味わう芭蕉のユーモラスな姿が浮かびます。旅の疲れを癒やす温かいもてなしへの感謝と、気取らない日常の楽しさが生き生きと表現された名句です。
薯蕷掘るや山の神へのことわり路
詠み人知らず【現代語訳】山芋を掘り出すために山へ入るが、自然の恵みをいただくことへの感謝を込め、山の神様にお断りを言いながら細い山路を進んでいくことよ。 【鑑賞】自然に対する謙虚な畏敬の念と、静かな秋の山里の情景が見事に調和しています。「ことわり路」という表現に、古き良き日本の精神性と素朴な暮らしの美しさが感じられます。
薯蕷掘る道具をになひゆく男
詠み人知らず【現代語訳】長い薯蕷を傷つけずに掘り出すための専用の道具を肩に担いで、山の方へと歩いていく男の頼もしい姿よ。 【鑑賞】子規が得意とした「写生」の極致を示す一句です。余計な感傷を交えず、ただ道具を担いで山へ向かう男の後ろ姿をありのままに捉えることで、秋の日の労働の力強さと生活のリアリティが鮮明に描き出されています。

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