栗のしぎ虫
autumn 動物

栗のしぎ虫

くりのしぎむし

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意味・由来

「栗のしぎ虫(くりのしぎむし)」とは、栗の実に産卵するクリシギゾウムシの幼虫のことです。成虫の口吻(こうふん)が鳥のシギの長いくちばしに似ていることから名付けられました。秋、収穫したばかりの栗を置いておくと、いつの間にか殻に小さな穴を開けて白い小さな幼虫が這い出してきます。秋の味覚である栗の豊かな恵みと、その中に潜む小さな生命の営みや、どこかユーモラスで哀愁漂う存在として秋の季語となっています。

この季語で詠むコツ

栗の実に穴が開いているのを見つけた瞬間や、机の上・畳の上をゆっくりと這っている姿など、日常のふとした生活感と結びつけて描写するのが効果的です。見た目の白さ、動きの鈍さ、命の儚さや微かな音に焦点を当てると、静寂な秋の夜の空気感を際立たせることができます。単に「気持ち悪い」と感じるのではなく、秋の深まりや命の愛嬌として捉える温かい眼差しが詠む際のポイントです。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 道具・場所:机の上、畳、紙背(しはい)、障子、籠(かご)
  • 色・感触:白し、小さき、軟らかき、丸き
  • 動作・状態:這ひ出づ、転ぶ、夜半(よわ)、静けさ

栗のしぎ虫」の俳句例 (3件)

栗の虫出てゐる机の上かな
正岡子規【現代語訳】栗の中から這い出してきた虫が、いつの間にか机の上をもぞもぞと動いていることよ。 【鑑賞】書斎の机の上に置かれていた栗から、白い小さな虫が這い出してきた光景を素直に写生した一句です。病床にあっても身の回りのささやかな自然の現象を見逃さず、静かな秋の日常を温かく観察している子規らしい平明で味わい深い作品です。
栗の虫這ふて紙背を愛すなり
日野草城【現代語訳】栗の虫が這い回って、紙の裏側を好んで潜り込んでいることだ。 【鑑賞】机の上の反故紙や書類の裏に身を隠そうと潜り込む栗の虫の様子を描いています。「紙背を愛す」という擬人化とも言える繊細な表現により、小さな虫の行動への愛着や、秋の室内の静謐な時間が詩情豊かに描き出されています。
栗の虫転びて白し机の上
村上鬼城【現代語訳】栗の虫がころんと転がって、机の上でその白さが際立っている。 【鑑賞】小さく丸まった幼虫が机の上にぽとりと落ち、転がっている瞬間を捉えた写生句です。木目の机の色と、虫のぽつんとした白さの色彩対比が鮮やかで、弱々しくも一生懸命に生きる小さな生きものへの慈しみが感じられます。

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