栗蒸羊羹
autumn 生活

栗蒸羊羹

くりむしようかん

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意味・由来\n栗蒸羊羹(くりむしようかん)は、秋を代表する和菓子をテーマにした季語です。通常の練り羊羹とは異なり、小麦粉や葛粉を混ぜた餡の生地に栗の甘露煮や渋皮煮を加えて蒸し上げて作られます。もっちりとした独特の食感と、新栗のほくほくとした素朴な甘さが特徴です。江戸時代、栗の収穫期である秋に庶民の間で親しまれた蒸羊羹に栗を入れたのが始まりとされています。高級感のある練り羊羹に比べ、家庭的で温かみのある秋の味覚として広く愛されてきました。\n\n### この季語で詠むコツ\n栗蒸羊羹を詠む際は、その「質感」や「切り分ける動作」、そして「食べるシチュエーション」に焦点を当てると良いでしょう。練り羊羹にはない「もちもちとした柔らかさ」や「包丁を入れるときの手応え」を五感で表現すると、臨場感が生まれます。また、お茶を淹れるひととき、家族や親しい友人をもてなす場面など、日常生活のなかの小さなくつろぎや、秋の日の穏やかな空気感を取り入れると、共感を呼ぶ句になります。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n* 動作・感触:切る、包丁、刃、分かつ、もてなす、包み、切り口\n* 情景・器:渋茶、湯気、懐紙、漆器、仏前、灯、畳\n* 季節感・感情:秋深し、久しき友、雨の午後、静けさ

栗蒸羊羹」の俳句例 (3件)

栗蒸羊羹一本を切りきりて
後藤比奈夫【現代語訳】栗蒸羊羹を一本、迷いなく最後まで切り分けて。【鑑賞】栗蒸羊羹は一本の竿物として売られていることが多く、それを切り分ける作業自体に秋の落ち着いた時間の流れや、客をもてなす温かい気配が感じられます。「切りきりて」というリズム感のある表現から、包丁が小気味よく羊羹に入っていく様子と、すべてを等分に切り終えた満足感が伝わってきます。
栗蒸し羊羹好物なりし人とをり
鈴木真砂女【現代語訳】栗蒸し羊羹が大好物であったあの人と、今も一緒にいるような心地がしている。【鑑賞】作者の代表的な抒情句の一つ。亡き人の面影を、秋の好物である栗蒸し羊羹を通じて追慕しています。ねっとりとした甘さと、栗のほくほくとした食感は、温かな思い出を呼び起こす呼び水となります。切なくも温かい、心の交流が描かれています。
栗蒸し羊羹仏の前の小さき灯
星野立子【現代語訳】仏壇の前に小さな灯がともる中、お供えされた栗蒸し羊羹がひっそりと置かれている。【鑑賞】秋の暮れ、仏前に供えられた栗蒸し羊羹。ほの暗い仏間のなかに、お灯明の小さな光が揺れており、それが羊羹の素朴な質感や、埋め込まれた栗の黄色をかすかに照らしています。先祖や亡き家族を偲ぶ静かな秋の夜の情緒が、この一皿を通してしみじみと伝わってくる作品です。

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