洪水
autumn 地理

洪水

こうずい

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意味・由来

「洪水(こうずい)」は秋の季語で、台風や秋雨前線の豪雨などによって河川が氾濫し、田畑や人家などが水に浸かる現象を指します。古くから農耕民族である日本人にとって、収穫期を間近に控えた秋の出水は実りを奪い、生活を脅かす深刻な災害でした。単なる自然現象としての水の多さだけでなく、天災の猛威に対する畏れや、被災した生活の困窮、あるいは水が引き始めた後の寂寥感や澄んだ空気といった多様な情感を内包する季語です。

この季語で詠むコツ

濁流の激しさや恐怖を直接的に詠むのも一つですが、水が引き始めた後の静寂や、残された泥の匂い、あるいは空の青さとのコントラストを描くことで、より深い余韻が生まれます。被害の様子を客観的にスケッチしつつ、人間の力では抗えない自然の圧倒的なスケールや、災害に立ち向かう人々の営みに焦点を当ててみましょう。

相性のいい言葉・取り合わせ

・水や土に関する言葉(濁流、泥、土手、流木、水脈) ・災害後の情景(夜寒、星、月、青空、乾く) ・生活の機微(長靴、畳、舟、片付け)

洪水」の俳句例 (3件)

洪水の後や夜寒の星の数
正岡子規【現代語訳】洪水が引いたあとの夜、身に染みる寒さの中で見上げると、空には無数の星が冷ややかに輝いている。 【鑑賞】大水害の去った後の冷え冷えとした夜の静寂を描いた句です。地上の混乱や不安とは対照的に、秋の夜空に冴え冴えとまたたく星々の美しさと冷たさが、被災後の孤独や心細さを際立たせています。
洪水や鴨引くあとの月明り
与謝蕪村【現代語訳】大水が一面に広がる中、渡り鴨が飛び去ったあとに、澄んだ月の光が静かに水面を照らしている。 【鑑賞】洪水によって一面が水びたしになった広大な風景と、そこから飛び立つ鴨、そしてその後に残された冴えた月光という、動と静の対比が見事な名句です。水害の凄惨さよりも、自然の幽玄で絵画的な一面を捉えています。
洪水や蔵のあたりを夜の鳥
原石鼎【現代語訳】洪水が押し寄せている夜、浸水した屋敷蔵のあたりを、正体の知れない夜の鳥が飛び交っている。 【鑑賞】夜間に水かさが増していく不気味な状況を、「蔵のあたりを飛ぶ夜の鳥」という不吉で緊張感のある描写によって表現しています。見えない水の脅威と闇の深さが迫真の臨場感を生み出しています。

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