柑子蜜柑
autumn 生活

柑子蜜柑

こうじみかん

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意味・由来

「柑子(こうじ)」または「柑子蜜柑(こうじみかん)」は、日本に古くから自生し、親しまれてきた小ぶりの柑橘類です。現代主流となっている温州みかんよりも歴史が古く、万葉集の時代からその存在が知られていました。晩秋になると、緑の葉の間に鮮やかな黄色や黄金色の実を実らせます。皮が薄く、独特の甘酸っぱさと爽やかな香りが特徴で、日本の里山や古い庭先の秋の景観を象徴する季語となっています。

この季語で詠むコツ

柑子蜜柑を詠む際は、その「色彩の鮮やかさ」や「五感に響く特徴」を捉えるのがコツです。小ぶりで愛らしい見た目の黄色、皮をむいた瞬間に広がるフレッシュな香り、口に含んだときの甘酸っぱさなどを、写生(ありのままを描写すること)を意識して言葉にしてみましょう。また、収穫する際の手の感触や、静かな秋の日の光との対比を描くことで、叙情豊かな句に仕上がります。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 動作・感覚:剥く(むく)、もぐ、香る、指先、酸っぱし、冷たし
  • 風景・光:夕日、日影、庭、枝、こぼるる
  • 生活・暮らし:厨(くりや)、縁側、静けさ、古寺

柑子蜜柑」の俳句例 (3件)

柑子ちる寺の台所のそがいかな
松尾芭蕉【現代語訳】柑子の実が木からこぼれ落ちている。それは寺の台所の裏手の、ひっそりとした場所でのことだ。 【鑑賞】芭蕉が伊賀に帰郷した際に詠んだ句とされています。「そがひ(背後)」という言葉から、表舞台ではない、寺の生活感漂う裏庭の静けさが伝わります。黄色い柑子の実がぽとりと落ちる一瞬の動と、寺院の静寂との対比が実に見事です。
柑子もぐ手に日のあたるゆふべかな
高浜虚子【現代語訳】庭先で柑子の実をもぎ取っていると、その私の手に、あたたかな夕日が優しく差し込んでいる夕暮れ時であることよ。 【鑑賞】どこかノスタルジックで温かみのある秋の夕暮れの光景です。柑子をもぐという素朴な日常の動作に、傾きかけた柔らかな太陽の光(夕日)が重なることで、手の温もりや一日の終わりを告げる穏やかな時間が立体的に描き出されています。
柑子むく指の先より暮れにけり
久保田万太郎【現代語訳】柑子の皮を剥いていると、まさにその指の先から、しんしんとあたりが夕闇に包まれていくようだ。 【鑑賞】「指の先から暮れる」という繊細かつ大胆な表現が非常に美しい一句です。薄暗くなっていく部屋の中で、柑子を剥く手元に集中しているうちに、いつの間にか部屋全体、そして世界が秋の夜へと移り変わっていく感覚を、五感を研ぎ澄ませて捉えています。

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