今年綿
autumn 時候

今年綿

ことしわた

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意味・由来\n「今年綿(ことしわた)」は、その年に収穫されたばかりの新しい綿(新綿)を指す秋の季語です。綿の実は秋になるとパチパチとはじけ、中からふっくらとした真っ白な綿毛を覗かせます。この新綿は、古くから布団の仕立て直しや防寒着の綿入れに使われ、冬を迎えるための大切な生活の備えでした。単なる農作物としての綿だけでなく、収穫の喜びや、これからの厳しい寒さに備える温かな安心感、そして家族を思いやる優しさが内包された、生活に根ざした情緒豊かな季語です。\n\n### この季語で詠むコツ\n今年綿を詠む際は、その最大の特徴である「白さ」や「柔らかさ」、「温もり」といった視覚や触覚に訴えかける表現を意識することが大切です。単に「白い綿がある」と描写するだけでなく、手で触れたときの弾力や、陽の光を浴びて輝く様子、新綿ならではのみずみずしい「新しさ」を切り取ると、季語の持つ生命力が引き立ちます。また、家族への愛情や日常の穏やかな営みと重ね合わせることで、より深い余韻を生み出すことができます。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n* 触覚・視覚を強調する言葉(ふっくら、柔らか、白、陽光、手元)\n* 暮らしや家族を連想させる言葉(母、祖母、紡ぐ、針、衣、朝)\n* 季節の推移を表す言葉(初霜、北風、日だまり)

今年綿」の俳句例 (3件)

今年綿まだあたたかき主かな
向井去来【現代語訳】今年とれたばかりの温かい新綿のように、その主(あるじ)もまた人情味にあふれ、温かみを感じさせる人であることよ。\n【鑑賞】去来が訪ねた家の主人の温かなもてなしと人柄を、収穫されたばかりのふっくらとした「今年綿」の温もりに重ね合わせて称賛している、心の通い合いを感じる一句です。
今年綿に親おくりだすあしたかな
与謝蕪村【現代語訳】今年収穫されたばかりの新綿を詰めた温かい衣服を親に着せ、旅へと送り出す、清々しくも少し寂しい朝であることよ。\n【鑑賞】親への孝行心と、これから始まる旅の寒さを気遣う優しさが、新しく弾けたばかりの「今年綿」の白さと温もりを通して見事に表現されています。
今年綿つみてましろき手元かな
正岡子規【現代語訳】今年とれた綿の畑で、はじけた綿毛を摘み取っているその手元が、綿の白さと重なって実に見事に真っ白に見えることだ。\n【鑑賞】綿を摘む人物(おそらく女性や子ども)の手の美しさと、純白の今年綿の鮮やかなコントラストを写生的に捉えた、清涼感のある美しい一句です。

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