炬燵欲し
autumn 生活

炬燵欲し

こたつほし

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意味・由来

「炬燵欲し(こたつほし)」は、晩秋の寒さを感じ始める時期に用いられる季語です。まだ本格的な冬には至らず、暖房器具を本格的に設置するには少し早いと感じる時期に、朝晩の急な冷え込みに遭って「早くあの温かい炬燵に入りたい」と切望する、人間らしい切実さとどこかユーモラスな愛嬌を含んだ言葉です。単なる寒さの物理的な表現にとどまらず、温もりを恋しがる人間の暮らしの哀歓が表現されています。

この季語で詠むコツ

実際に炬燵に入って温まっている状態ではなく、「まだ炬燵がない」という状況下での寒さや、炬燵を心待ちにする心理を詠むのがポイントです。手足の冷え、部屋の寒々しさ、あるいは家族との「そろそろ出そうか」という相談など、日常の具体的な一コマを切り取ることで、読者に強い共感を呼ぶ句になります。

相性のいい言葉・取り合わせ

・身体の部位や感覚(足の先、指先、肩、ちぢこまる、冷える、物思う) ・家の中の動作・様子(本を読む、畳に寝る、板の間、夕餉の支度) ・晩秋の自然や気配(冷雨、秋風、夕暮れ、夜の底)

炬燵欲し」の俳句例 (3件)

物思ふ足の先より炬燵欲し
三橋鷹女【現代語訳】あれこれと考えごとをしているうちに、足の先からじんわりと冷えてきて、ああ、早く炬燵が欲しいなとしみじみ思うことだ。 【鑑賞】「物思う」という精神的な深い営みと、足先から冷えていくという即物的な身体感覚が、「炬燵欲し」という切実な望みへと結びついています。ただ寒いというだけでなく、心身ともに温もりを求めている女性の繊細な心理が実に見事に表現されている名句です。
一病の身の置きどころ炬燵欲し
村山故郷【現代語訳】持病を抱えたこの体は、秋の寒さの中でどう落ち着かせたらよいか分からない。ただただ、あの温かい炬燵が恋しくてたまらない。 【鑑賞】病を患う身にとって、晩秋の底冷えは健康な人以上に骨身にしみるものです。どこに身を置いても体の置き所がないという辛さの中で、優しく包み込んでくれる炬燵という存在を渇望する、痛切なまでの暮らしの実感がこもっています。
寝ころんで読んでゐる書や炬燵欲し
尾崎放哉【現代語訳】畳の上に寝転がって本を読んでいるのだが、だんだんと寒さが忍び寄ってきて、やっぱり炬燵が欲しいなと思うことだ。 【鑑賞】放哉の日常の素朴な一瞬を切り取った一句です。寝転がってくつろぎながら読書をするという平穏な時間の中に、秋の冷気が忍び寄ってくる気配が伝わります。「炬燵が恋しい」というささやかな願いが、飾らない口語調で親しみやすく描かれています。

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