木の実雨
autumn 天文

木の実雨

このみあめ

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意味・由来

木の実雨(このみあめ)」とは、団栗(どんぐり)や椎の実、橡(とち)の実などの木の実が熟して落ちる秋の深まりの時節に降る雨のことです。この雨自体が木の実を濡らして落ちやすくさせたり、雨に打たれて木の実がバラバラと地面に落ちたりする情景を象徴しています。単なる雨の描写にとどまらず、生命のサイクルや季節が冬へと向かう寂寥感、そして自然の静けさを内包した非常に情趣深い季語です。

この季語で詠むコツ

木の実雨を詠む際には、ただ雨が降っている様子を描くだけでなく、「音」や「視覚的な対比」を意識すると効果的です。例えば、しとしとと降る雨の音の中に混じる「コツン」「ポツリ」という木の実が落ちるかすかな音や、雨に濡れてつややかに光る木の実の質感などをクローズアップします。雨という全体的な背景と、木の実という具体的な小さな物体を対比させることで、静寂さや孤独感をより鮮明に表現することができます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・音を想起させる言葉(「しずか」「音なき」「コツンと」「響く」など) ・寺社や歴史を感じさせる言葉(「仏」「石仏」「境内」「古寺」「瓦」など) ・自然の質感を表す言葉(「濡るる」「苔」「落ち葉」「谷底」「土」など)

木の実雨」の俳句例 (3件)

木の実雨しづかにいそぐ日暮かな
飯田蛇笏【現代語訳】木の実を濡らして降る秋の雨のなか、あたりはしめやかに、そしてどこか急ぎ足で日が暮れていくことよ。【鑑賞】木の実雨がしとしとと降る、もの寂しい秋の一日。山深い中での日の暮れの早さと、季節が冬へと移り変わる寂寥感を、主観を交えずに静かに描き出した、蛇笏ならではの叙情に満ちた名句です。
木の実雨いづこも同じ谷の音
前田普羅【現代語訳】木の実を濡らす雨が降っている。谷の底からは、どこに立って耳を澄ませても、同じようにゴーゴーと響く水の音が聞こえてくる。【鑑賞】山を包む細やかな雨と、谷底を流れる轟々たる川の音を対比させ、大自然の懐に抱かれた人間の一人静かな境地を詠んでいます。静の中に動が溶け込んだ深みのある一句です。
木の実雨佛の鉢にたまりけり
河野静雲【現代語訳】しとしとと降る木の実雨が、屋外に佇む石仏の捧げ持つ鉢の中に、静かにたまっていることだ。【鑑賞】野外に置かれたお地蔵様や仏像の、両手で掲げた鉢(あるいは托鉢の器)に、雨水が静かにたまっていく情景。冷たい秋の雨でありながら、仏の慈悲や、雨を受け止める器の存在が、どこか温かみと救いを感じさせる名作です。

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