小鰯
autumn 生活

小鰯

こいわし

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意味・由来

「小鰯(こいわし)」は、鰯(マイワシ、カタクチイワシなど)の体長数センチほどの幼魚・小魚を指す秋の季語です。秋になると鰯が脂を乗せながら沿岸に群れをなして押し寄せ、その小さな姿が市場や食卓を賑わせます。古くから庶民の滋味あふれる食材として親しまれ、天ぷらや煮付け、干物(煮干しやちりめんじゃこ)などに加工されて秋の味覚を代表してきました。小さな銀色の魚体がきらめき、群れとなって命を輝かせる姿は、秋の海の豊かな恵みと活気を象徴しています。

この季語で詠むコツ

小鰯を詠む際は、その「群れ」としての躍動感や「銀色」の美しい輝き、あるいは庶民的な「食」の日常感を捉えるのがポイントです。一匹一匹は小さくとも、ざるや俎(まないた)に無数に並んだときの整然とした美しさ、網の中で銀の光を散らす海の生命力、または台所で手際よく調理される生活の匂いなど、視覚や嗅覚・触覚を意識して具体的に描写すると生き生きとした句になります。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 台所・調理道具:ざる、俎(まないた)、小鍋、塩、酢、生姜
  • 光・色彩の描写:銀、きらめき、うろこ、夕日、秋潮(あきしお)
  • 港・海の情景:投網、生簀(いけす)、漁火、波頭、浜風

小鰯」の俳句例 (3件)

俎に小鰯の眼の揃ひたる
日野草城【現代語訳】まな板の上に並べられた小鰯たちの小さな目が、行儀よく一方向に揃っている。【鑑賞】調理前の小鰯が無数にまな板の上に並んでいる光景を端正に切り取った一句です。一匹ずつの小さく澄んだ目が揃っている様子に、命の儚さと同時にある種の幾何学的な美しさ、清潔な台所の情景が鮮やかに浮かび上がります。
小鰯の銀ちりばめてざる深し
富安風生【現代語訳】盛られた小鰯の銀色の輝きが一面に散らばり、竹ざるの深さをいっぱいに満たしている。【鑑賞】水揚げされたばかりか、あるいは水洗いされた小鰯の鱗がきらきらと光を放つ様子を「銀ちりばめて」と表現しました。ざるの深さと相まって、秋の海の豊かな収獲の喜びとみずみずしさが感じられます。
小鰯を喰ひつくしたる猫の貌
高浜虚子【現代語訳】小鰯を骨まで残さずきれいに食べつくした猫が、満足げな顔をしている。【鑑賞】お裾分けの小鰯を綺麗に平らげた飼い猫の表情をユーモラスに描いた日常の一コマです。小鰯ならではの気軽な庶民性や秋の長閑な暮らしぶりが、猫の満足げな表情を通して温かく伝わってきます。

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