鬼の子
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意味・由来\n「鬼の子」は、俳句において「目籠(めかご)」を指す言葉です。陰暦の七月一日(現在の八月はじめ、立秋の頃)に、疫病退散や魔除け、厄払いのために、竹の竿の先に目の粗い籠(目籠)を高く掲げる習俗がありました。籠には無数の「目」があることから、鬼がその目を熱心に数えているうちに夜が明けて退散してしまう、あるいはその目が鬼を威嚇するという信仰に由来します。この目籠のことを、親しみを込めて、あるいは異界の存在を象徴するものとして「鬼の子」と呼び、秋の季語として定着しました。単に童の鬼そのものを指す場合もありますが、この年中行事の背景を知ることで、句に深い奥行きが生まれます。\n\n### この季語で詠むコツ\n「鬼の子」を詠む際は、おどろおどろしい怪異としての鬼ではなく、どこか哀愁を帯びた、あるいは滑稽で愛嬌のある存在として捉えるのがコツです。目籠という民俗的な道具のイメージから、秋の夕暮れや夜の寂しさを引き出すのも良いでしょう。また、伝説やファンタジーのような世界観をあえて日常の風景に落とし込むことで、読者の想像力を刺激するユニークな句を作ることができます。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n- 自然現象:秋の風、霧、嵐、夕闇、露\n- 植物:芒(すすき)、百合(ゆり)、野薔薇の実\n- 感情・状態:寂し、哀し、隠る(隠れる)、泣く、遊ぶ

鬼の子」の俳句例 (3件)

鬼の子の尿する音や秋の風
与謝蕪村【現代語訳】鬼の子がしとしとと立ち小便をしているような音が聞こえてくる、寂しく荒涼とした秋の風が吹くことよ。\n【鑑賞】「鬼の子」を、目籠(めかご)の風習から、あるいは単にユーモラスでどこか哀愁を帯びた想像上の存在として詠んだ句。激しくもどこか寂しげな秋の夜の風を、鬼の子の排泄の音に見立てた蕪村独特の奇抜で絵画的な想像力が光る名句です。
鬼の子の髪つかみ行く嵐かな
与謝蕪村【現代語訳】凄まじい嵐が吹き荒れ、まるで見えない風の怪物が、鬼の子の髪をむんずと掴んで連れ去っていくかのようである。\n【鑑賞】激しい嵐の様子を、おどろおどろしい「鬼の子」というファンタジーの要素を用いて動的に表現しています。吹き荒れる強風に翻弄される小さな鬼の子の姿が、鮮烈なイメージとなって浮かび上がります。
鬼の子の身をかくすべき芒かな
飯田蛇笏【現代語訳】鬼の子がその小さな体をこっそりと隠すのにちょうどよい、生い茂るすすき野原であることよ。\n【鑑賞】秋の風情を代表する「すすき(芒)」と、異界の存在である「鬼の子」を組み合わせた句。高く伸びたすすきの合間に、異界の童が潜んでいるような、寂しくもどこか神秘的な秋の野原の情景が描き出されています。

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