花扇の使
autumn 生活

花扇の使

けせんのつかい

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意味・由来

「花扇の使(けせんのつかい / はなおうぎのつかい)」とは、旧暦八月朔日(八朔・はっさく)の祝儀に際し、美しく飾られた「花扇」を携えて挨拶に巡る使者のことです。近世の京都(島原など)の花街では、八朔の日に白無垢や華やかな衣装を着た太夫や芸妓が、秋の七草や造花で彩られた大きな花扇を贔屓客や茶屋へ届ける風習がありました。宮中や公家の雅な贈答行事に由来し、秋の訪れと華やぎ、そして独特の格式と艶やかさをあわせ持つ初秋の季語です。

この季語で詠むコツ

花街の伝統行事としての華やかさと、初秋の少し涼やかになり始めた気配とのコントラストを意識するのがポイントです。きらびやかな衣装や花扇そのものの美しさに目を奪われがちですが、使者が通り過ぎた後の路地に漂う残り香や、ふと吹き抜ける初秋の風、夕暮れの光などを取り合わせると、情緒豊かな奥行きのある一句に仕上がります。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 色や装い: 「白無垢」「小袖」「裾」「帯」「紅」など、衣装や装飾の色彩感を際立たせる言葉。
  • 空間・情景: 「小路」「格子」「門口」「石畳」「夕日」など、京都の花街や町並みを連想させる言葉。
  • 時候・気配: 「秋風」「夕暮」「初秋」「露」「名残」など、初秋の空気感を伝える言葉。

花扇の使」の俳句例 (3件)

花扇の使に似たる小袖哉
与謝蕪村【現代語訳】あでやかな小袖を着たあの人の姿は、まるで八朔の花扇を届ける使者のようであることよ。 【鑑賞】通りで見かけた人物(あるいは馴染みの女性)の美しい着物姿を、八朔の雅な「花扇の使」に見立てて賞賛した一句です。蕪村らしい絵画的な美意識と、江戸時代の洗練された風流が感じられます。
花扇の使ひ通るや夕間暮
炭太祇【現代語訳】花扇を携えた使者が、暮れなずむ夕方の通りを静かに通り過ぎていくことだ。 【鑑賞】京都島原の俳諧師として花街の情緒に精通していた太祇の作です。夕暮れ時の仄暗い街並みと、使者がまとう華麗な衣装のコントラストが目に浮かび、八朔の日の華やぎの余韻を鮮やかに描き出しています。
花扇の使にあふて通り町
松瀬青々【現代語訳】町の大通りを歩いていると、ちょうど花扇を届ける使者に行き逢ったことだよ。 【鑑賞】日常の町歩きの中で、ふと晴れがましい「花扇の使」とすれ違った瞬間の驚きと華やぎを素直に詠んでいます。伝統行事が息づく街の活気と、季節の移ろいが生き生きと捉えられています。

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