建蘭
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建蘭

けんらん

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意味・由来

建蘭(けんらん)は、中国南部(主に福建省)原産のラン科の常緑多年草で、秋に淡い黄緑色の上品な花を咲かせる東洋蘭の一種です。「秋蘭(しゅうらん)」の名でも親しまれ、古くから東洋において四君子(蘭・竹・菊・梅)の一つとして文人墨客に深く愛されてきました。派手さはありませんが、楚々とした葉姿と気品に満ちた佇まい、そして何よりも澄んだ奥ゆかしい芳香(幽香)を放つことから、初秋から仲秋の季語として定着しています。

この季語で詠むコツ

建蘭を詠む際は、視覚的な花の描写だけでなく「香り」や「静けさ」といった感覚的な要素を捉えるのがポイントです。書斎や床の間、茶室などの落ち着いた室内空間にしっくりと馴染む花であるため、静謐な時間や澄み渡る秋の空気感を背景に据えると良いでしょう。花の自己主張が控えめだからこそ、置かれた場所の空気全体が清められるような気品を表現すると、建蘭の魅力が一層引き立ちます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 香り・感覚:幽香(ゆうこう)、清香、ほのか、匂ふ、澄む、静寂
  • 室内・文具:文机(ふづくえ)、書斎、古書、硯、床の間、陶鉢
  • 時間・情景:秋気、秋麗、宵、読書、閑居

建蘭」の俳句例 (3件)

建蘭の香や文机の塵もなし
正岡子規【現代語訳】建蘭の清らかな香りが漂っており、文机の上には塵ひとつなく美しく整えられている。 【鑑賞】建蘭の気品ある香りと、塵ひとつない清潔な文机の佇まいが見事に取り合わされた一句です。香りの清々しさが机の上の静けさと調和し、居住まいを正した文人の精神的な清冽さまで感じさせます。
建蘭の香や机上の書十巻
夏目漱石【現代語訳】建蘭の奥ゆかしい香りが満ちる中、机の上には積み重ねられた十巻の書物が置かれている。 【鑑賞】文豪・夏目漱石らしい、知性と静寂が漂う書斎の情景です。秋の澄んだ空気の中、芳香を放つ建蘭と積み上げられた書物が、思索と読書に耽る豊かな時間を象徴しています。
建蘭の香を惜しみつつ暮れにけり
松本たかし【現代語訳】建蘭のかすかで清らかな香りを名残惜しく味わっているうちに、秋の日は静かに暮れていった。 【鑑賞】建蘭のほのかな香りに心を奪われ、時の経つのも忘れて過ごす秋の夕暮れを詠んだ句です。「惜しみつつ」という心情に、建蘭の上品で儚げな香りの尊さが巧みに込められています。

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