毛見立
autumn 生活

毛見立

けみだて

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意味・由来 「毛見立(けみだて)」とは、江戸時代に農村で行われた「検見(けみ)」という制度に由来する秋の季語です。「検見」とは、領主や幕府の役人が収穫前の田畑を実際に見て回り、稲の生育状況を検査してその年の年貢(税率)を決定する行事のことです。その検査が始まる日、あるいは役人の巡回そのものを「検見立(毛見立)」と呼びました。農民にとって、一年の労働が正当に評価され、これからの生活を左右する最も重要な、そして緊張に満ちた日でした。 ### この季語で詠むコツ 単にお役人の視察という歴史的な事実を説明するだけでなく、当時の農民たちが抱いた「緊張感」や「期待と不安」を表現するのがコツです。実りの秋の豊かさと、そこに漂う張り詰めた空気感、さらには役人の威厳に満ちた佇まいと農民の素朴な姿の対比などを意識すると、物語性のある深い句になります。 ### 相性のいい言葉・取り合わせ * 役人、お役、馬、行列(当時の情景を呼び起こす言葉) * 平伏す、かしこまる、静まり返る(緊張感を表現する言葉) * 穂波、黄金、豊作、稔り(田んぼの様子を表す言葉) * 秋晴れ、秋風、青空(季節の背景となる爽やかな自然現象)

毛見立」の俳句例 (3件)

検見立や風吹けば折るる稲の茎
黒柳召波【現代語訳】いよいよ検見が始まった。折からの秋風が吹くたびに、豊かに実った稲の茎が、まるでお役人に頭を下げるかのように折れ曲がっている。【鑑賞】風に揺れて折れる稲の様子を、検見の役人に対して恐縮して平伏している農民たちの姿に見立てた、ユーモアと風刺の効いた作品です。実りへの感謝と、年貢への不安が入り混じる農村の心理を巧みに表現しています。
検見立や草にひれ伏す野らの人
与謝蕪村【現代語訳】検見(年貢を決めるための検査)が始まる。お役人の行列がやってくると、野良仕事をしていた農民たちが、道ばたの草の上に平伏してかしこまっている。【鑑賞】役人の権威と、それを迎える農民の従順な姿勢を写実的に捉えた一句。「草にひれ伏す」という描写が、当時の身分制度の厳しさと、秋の田野のリアルな空気感を鮮明に描き出しています。
検見立の供の馬よりこぼれ萩
高井几董【現代語訳】検見の役人の供をつとめる馬たちが通り過ぎていく。その足元や体に触れて、道ばたの萩の花がはらはらとこぼれ落ちている。【鑑賞】物ものしい検見の行列という緊張感の中に、萩の花が美しく散りこぼれるという優美な秋の自然の一コマを対比させています。張り詰めた空気を和らげるような、几董らしい繊細な視点が生きた名句です。

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