数搔く
autumn 生活

数搔く

かずかく

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意味・由来

「数搔く(かずかく)」とは、葛湯(くずゆ)や芋粥などを調理する際、焦げ付かないように、また均一にとろみがつくように何度も丹念にかき混ぜることを指す秋の季語です。「数(かず)」を多く「搔く(かき混ぜる)」という言葉の通り、鍋や器の中で手をせわしなく、かつ丁寧に動かす様子を表しています。肌寒さを感じる秋の夜に、心も体も温まる食べ物を作る際の、どこか寂しくも温かい生活の営みを象徴する言葉です。

この季語で詠むコツ

「数搔く」という動作そのものが持つ「とろりとした質感」や「立ちのぼる湯気」、「鍋をこする音」といった五感を刺激する要素を意識しましょう。静かな空間や、秋の夕暮れ時のわびしい風景と対比させることで、かき混ぜる手元の温もりや、焦げ付かないように気遣う丁寧な暮らしぶりがより引き立ちます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 食や火にまつわる言葉:「葛(くず)」「粥」「炉火」「鍋」「とろ火」
  • 情景や住まいを表す言葉:「庵(いおり)」「障子」「夕暮」「山路」「薄暗がり」
  • 触覚・視覚的な言葉:「湯気」「とろり」「白し」「静か」

数搔く」の俳句例 (3件)

数かいて汁の葛這ふ障子かな
服部嵐雪【現代語訳】葛汁を何度も丁寧にかき混ぜていると、その温かい湯気が、障子に這うように白く立ちのぼっていくことだ。 【鑑賞】「数かく」という単調な手の動きと、それに伴って発生する温かい湯気の動きを、障子という平面的な背景に見事に投影した一句。秋から冬へと向かう季節の、室内のはんなりとした温もりと静寂が伝わってきます。
数かいて芋の粥煮る山家かな
森川許六【現代語訳】山里の素朴な家で、焦げ付かないように何度もかき混ぜながら、芋粥を煮ていることだ。 【鑑賞】山家(山里の貧しい家)でのつつましくも豊かな暮らしを切り取った句。秋の収穫物である芋を入れた粥を、火の傍でじっと「数かく」姿には、素朴な温かみと自然と共に生きる人の穏やかな時間が流れています。
数かいてまた火をかこむ山路かな
高井几董【現代語訳】葛湯などを何度もかき混ぜて作り終え、それをいただいた後、再び山道の宿の火を囲んで皆で暖まっていることだ。 【鑑賞】秋の山路を旅する途中の、温かい休息のひとときを描いています。温かいものを「数かいて」作り、それを分け合って飲んだ後、再び火を囲み直して旅の話に花を咲かせる人々の温もりと旅情が、心地よく伝わってきます。

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