風津波
autumn 天文

風津波

かぜつなみ

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意味・由来\n「風津波(かぜつなみ)」とは、秋の台風や発達した低気圧による激しい暴風が、海上に猛烈な大波を引き起こす様子を指す季語です。地震によって発生する実際の津波とは異なり、強風に煽られて波が幾重にも重なり合い、まるで津波のように牙を剥いて押し寄せる極限の海景を表します。また、海辺の景色にとどまらず、強風によって広大なススキの野原や稲穂が、一斉にうねり波打つダイナミックな様子を比喩的に「風津波」と表現することもあります。秋という季節が持つ、荒々しく圧倒的な自然のエネルギーを象徴する言葉です。\n\n### この季語で詠むコツ\n風そのものは目に見えないため、風によって「何がどのように激しく動かされているか」を具体的に描写することがポイントです。白く砕け散る波頭、吹き荒れる風の轟音、激しくしなる木々や草むらなど、視覚のみならず聴覚や触覚に訴えかける言葉を選びましょう。大自然の脅威や、その圧倒的なスケール感に対して人間が抱く畏怖の念を盛り込むと、より句に深みが生まれます。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n- 動きや勢いを示す動詞:うねる、猛る(たける)、砕ける、逆巻く(さかまく)、捲る(めくる)\n- 臨場感を高める形容詞・副詞:凄まじ、轟々と(ごうごうと)、白々と\n- 取り合わせる名詞:岬、一湾(いちわん)、岩礁、怒濤(どとう)、芒(すすき)、稲穂

風津波」の俳句例 (3件)

風津波音なきまでに高まりぬ
山口誓子【現代語訳】吹き荒れる風によって引き起こされた大波(風津波)が、あまりにも巨大化し、かえって不気味なほど音を立てずに高々と盛り上がっている。\n【鑑賞】台風などの極限状態において、波が最高潮に達した瞬間を切り取った句です。「音なきまでに」という表現が、静寂のなかに潜む大自然の凄まじい破壊力と圧倒的な緊張感を際立たせています。
風津波して一湾の昏れ急ぐ
沢木欣一【現代語訳】激しい風津波が押し寄せるなか、入り江の全体があっという間に暗くなり、急き立てられるように日が暮れていく。\n【鑑賞】荒れ狂う海と、秋の日の短い「暮れ急ぐ」スピード感が一体となり、自然の脅威と寂寥感が美しく融合した一瞬を描いています。「一湾」という大きな視野を提示することで、荒涼とした景色の広がりが読者に強く伝わります。
わが起てば四方の芒の風津波
飯田蛇笏【現代語訳】私がその場に立ち上がると、あたり一面に広がるススキの野原が、強い風に吹かれてまるで津波のように激しくうねり波打っている。\n【鑑賞】こちらは海ではなく、陸地の「ススキ」のうねりを津波に例えた名句です。作者が立ち上がったという動作をきっかけに、視界いっぱいに広がるススキが風に煽られて激しく躍動する様子が、「風津波」という力強い比喩によって鮮烈に表現されています。

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