風の盆
autumn 天文

風の盆

かぜのぼん

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意味・由来

「風の盆(おわら風の盆)」は、富山県富山市八尾(やつお)地域で、毎年9月1日から3日にかけて行われる伝統的な行事です。二百十日の台風を前に、風害を避け五穀豊穣を祈る「風よけ」の祭りが起源とされています。哀愁を帯びた「越中おわら節」の胡弓や三味線の調べにのせ、揃いの浴衣に編笠を深く被った踊り手たちが、静かに、そして坂の多い町を練り歩きます。無言で踊り明かすその姿は幽玄であり、秋の訪れと哀愁を強く感じさせます。

この季語で詠むコツ

おわら風の盆は、その「音」と「視覚的イメージ」が非常に鮮烈です。暗闇に浮き立つぼんぼりの灯り、深く被った笠、しなやかな指先、そして低く響く胡弓の音。これらの中から、自分が最も心惹かれたディテールを一つ絞り込んで詠むのがコツです。賑やかなお祭り騒ぎとは対極にある、静寂や叙情、どこか寂しげな雰囲気を表現すると、季語の情緒がより引き立ちます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・音に関する言葉:胡弓、三味線、おわら節、しのび音、哀調 ・視覚に関する言葉:編笠、坂の町、ぼんぼり、闇、指先、浴衣 ・情緒に関する言葉:更ける、かすか、しのび泣く、濡れる、静か

風の盆」の俳句例 (3件)

胡弓ひく指のみ見えて風の盆
長谷川かな女【現代語訳】闇の中で奏でられる風の盆の胡弓。その楽器を持つ手元、指先だけがかすかに見えて、妖艶で美しい。 【鑑賞】深く被った編笠や夜の暗闇のせいで、奏者の顔は見えず、ただ胡弓を弾く白い指先だけが浮き上がって見える瞬間を切り取っています。視覚のフォーカスが素晴らしく、ミステリアスな美しさを醸し出しています。
風の盆かすかに胡弓きこえ来し
稲畑汀子【現代語訳】風の盆が近づいてきたのだろうか、夜の闇の中から、かすかに物悲しい胡弓の音が聞こえてきた。 【鑑賞】八尾の町に響く「おわら風の盆」の代名詞とも言える胡弓の音を、聴覚的に捉えた一句です。「かすかに」という表現が、闇の深さと静けさを強調し、これから始まる祭りの静かな熱気を予感させます。
哀調の胡弓に夜更け風の盆
水原秋桜子【現代語訳】物悲しい胡弓の調べに包まれているうちに、いつしか夜も更けていく。これこそが風の盆の夜である。 【鑑賞】風の盆の最大の魅力である「胡弓の哀調」と、時間の経過を表す「夜更け」をシンプルに取り合わせた格調高い一句です。深い精神性と、祭りの持つ寂寥感が一言のうちに凝縮されています。

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