風日待
autumn 時候

風日待

かぜひまち

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意味・由来

「風日待(かぜひまち)」は、秋の暴風雨(台風)の被害を避け、収穫の無事を祈るために、特定の日に仕事を休んで家に籠り、風の神を祀って夜を明かす民俗行事です。主に八朔(旧暦八月一日)や二百十日、二百二十日といった、台風が来襲しやすいとされる厄日に行われてきました。激しい自然災害に対する畏怖の念と、それを共同体で静かに乗り越えようとする信仰心から生まれた、秋の情緒深い季語です。

この季語で詠むコツ

風日待を詠む際は、ただ嵐を恐れるだけでなく、嵐を前にした「静寂」や、家の中に籠っているときの「閉塞感と微かな緊張感」を表現するのがポイントです。外の風の音、部屋の明かり、家族の気配など、聴覚や視覚を限定した描写を取り入れることで、この季語が持つ独特の敬虔な雰囲気を生かすことができます。

相性のいい言葉・取り合わせ

家の中に閉じこもる行事であるため、室内を連想させる言葉と好相性です。「灯(ともしび)」「燈影(ほかげ)」「雨音」「夜更け」「畳」など、静かで内省的な言葉を取り合わせることで、風を待つ人々の心細さや厳かな時間がより引き立ちます。

風日待」の俳句例 (3件)

風日待うしろ暗うて灯をともす
正岡子規【現代語訳】風日待の夜、部屋の奥が薄暗く心細いので、早々と明かりを灯すことだ。【鑑賞】風を忌み、家の中に静かに籠る「風日待」の日の、どことなく落ち着かない室内の雰囲気を「うしろ暗うて」と表現しています。そこにぽつんと灯された灯火が、嵐を前にした人々の祈りと不安を象徴しているかのような、静けさと緊張感に満ちた名句です。
風日待こころもとなき燈影かな
渡辺水巴【現代語訳】風日待の夜に灯す明かりは、どこか頼りなげで心もとなく感じられることだ。【鑑賞】水巴らしい繊細な情緒が光る一句。風を鎮めるために祈り、静かに過ごす風日待の夜において、わずかに揺れる灯火(燈影)が、人々の台風への不安や敬虔な祈りの気持ちと同調している様子が巧みに表現されています。
風日待雨となりたる夜を更かす
日野草城【現代語訳】風を恐れて忌み籠る風日待の日に、いつしか雨が降り出し、その雨音を聴きながら静かに夜を更かしていく。【鑑賞】「風日待」という緊迫感や静寂を伴う夜に、雨が降り始めたことで、風への心配が少し和らいだのか、あるいはさらに雨風が強まるのか。夜を更かすという行為の中に、自然の推移をじっと見守る人間の静かな佇まいが描かれています。

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