河胡桃
autumn 植物

河胡桃

かわくるみ

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意味・由来

「河胡桃(かわくるみ)」は、主に川辺や渓谷のそばに自生する「サワグルミ」や、野生の「オニグルミ」の木、およびその実を指す秋の季語です。栽培用の大きな胡桃とは異なり、小ぶりで非常に硬い殻に包まれているのが特徴です。秋になると実が熟し、風や自重で川へと落ちていきます。その様子は、山野の清らかな空気や川の冷たさ、そして深まる秋の寂静を感じさせ、古くから俳人たちに愛されてきました。

この季語で詠むコツ

胡桃を詠む際は、その名の通り「水(川)」との関係性を意識することが大切です。実が水面に落ちる音、水に流される様子、あるいは水のない干上がった河原に転がる姿など、水辺特有の景観や静寂と対比させることで、季語の持つ哀愁や寂寥感をより引き立てることができます。華やかさよりも、静かで引き締まった情景描写に向いています。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 水に関する言葉:瀬音、水音、急流、川底、しぶき、淀み
  • 聴覚・触覚に訴える言葉:落ちる、冷たし、乾く、響く
  • 周囲の情景:河原、丸石、苔、夕闇、山影

河胡桃」の俳句例 (3件)

川胡桃落ちて瀬音の高まりぬ
村上霽月【現代語訳】川胡桃の実が川に落ち、それをきっかけにするかのように、川の瀬音が一段と高く耳に響いて聞こえてくる。【鑑賞】実際には胡桃の実が一つ落ちたことで川の流れの音量自体が変わるわけではありませんが、実が落ちる微かな音に意識が向いた瞬間、それまで背景音であった川のせせらぎ(瀬音)が、急に鮮明に立ち上がって聞こえてきた主観的な聴覚のダイナミズムを鮮やかに表現しています。
河胡桃おつる水音の暗さかな
渡辺水巴【現代語訳】川辺の胡桃の実がぽつりと水に落ちた。そのときの水音には、秋の深まりを感じさせるような、どこか暗く沈んだ響きがあることよ。【鑑賞】静まり返った渓谷や川辺で、河胡桃が水面に落ちる一瞬を捉えた句です。「水音の暗さかな」という表現によって、単なる音の描写に留まらず、周囲を取り囲む森の深さや、秋の日の陰り、そして作者の心の中にある寂寥感が見事に描き出されています。
川胡桃水なき川にこぼれけり
詠み人知らず【現代語訳】水が枯れて干上がってしまった川床に、川胡桃の実がぽろぽろとこぼれ落ちていることだ。【鑑賞】水のない川(枯れ川)に落ちる川胡桃という、荒涼とした、しかし乾いた叙情をたたえた景を写しています。本来であれば水音を立てて流れていくはずの胡桃が、ただ乾いた石の間にこぼれ落ちる様子に、秋の深まりと無常観が漂います。

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