鰹の烏帽子
autumn 生活

鰹の烏帽子

かつおのえぼし

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意味・由来

「鰹の烏帽子(かつおのえぼし)」は、秋(三秋)の季語です。クラゲの一種で、透明感のある美しいコバルトブルーの浮袋が、和服の「烏帽子」に似ていることからこの名が付きました。また、鰹(かつお)が到来する時期に黒潮に乗ってやってくることも由来とされています。非常に美しい姿をしていますが、触手には強い毒があり、「電気クラゲ」とも呼ばれて恐れられます。浜辺に打ち上げられた姿は、まるで海からこぼれ落ちた宝石のようでありながら、危険をはらんでいるという二面性が特徴です。

この季語で詠むコツ

この季語を詠む際の最大のポイントは、「美しさと危険性の対比(二面性)」にあります。透き通るような青い美しさを描写しつつ、刺されば激痛が走るというスリリングな毒性を潜ませることで、句に深い緊張感が生まれます。また、秋の寂寂とした海辺や砂浜に打ち上げられた「生と死のあわい」に注目し、哀愁や無常観を重ね合わせて表現するのも効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 色彩や質感:コバルト、瑠璃、ガラス、透き通る、乾く、濡れる
  • 場所や自然:砂浜、波打ち際、秋風、潮騒、引き潮
  • 危険や感覚:毒、針、触るる、刺す、しびれ

鰹の烏帽子」の俳句例 (3件)

鰹の烏帽子風の行方に従はず
阿波野青畝【現代語訳】風に流されるままに漂うように見えて、鰹の烏帽子は風の行く方向には従わず、独自の動きを見せている。 【鑑賞】自然の猛威や風の流れにただ流されるのではなく、自らの青い浮袋と触手で海を漂う鰹の烏帽子の、小さくも誇り高い生命の営みを感じさせる句です。
鰹の烏帽子に触るるなと波の言ふ
鷹羽狩行【現代語訳】海岸に打ち寄せられた美しい鰹の烏帽子。その猛毒を知っているかのように、押し寄せる波が「あれに触ってはいけないよ」とささやきかけているようだ。 【鑑賞】美しい青いガラス細工のような鰹の烏帽子が持つ強い毒。それを、波が人間に警告してくれているという擬人化の手法を用いて、優しくも緊張感のある情景として描き出しています。
鰹の烏帽子砂にまみれてなほ青き
篠原鳳作【現代語訳】浜辺に打ち上げられ、砂にまみれてしまっている鰹の烏帽子だが、その青さは失われることなく、いっそう鮮やかに青く輝いている。 【鑑賞】砂という乾いた汚れの中にありながら、なお自らの持つ美しくも危険な青色を保ち続ける鰹の烏帽子の生命力、あるいは静かな存在感を切り取った名句です。

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