刈り田の衣
autumn 地理

刈り田の衣

かりたのころも

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意味・由来

「刈り田の衣(かりたのころも)」とは、稲刈りがすっかり終わった晩秋の田んぼ(刈り田)に残された、案山子(かかし)が身にまとっている衣服のこと、あるいは刈り田そのものに降りる露や霜、刈り跡の切り株を衣に見立てた風雅な表現です。特に、収穫が終わって人影も途絶えた寂しい田んぼにぽつんと立つ案山子の、破れて古びた衣服は、晩秋の寂寥感やわびしさを象徴するものとして、古くから詩歌に好んで詠まれてきました。稲作とともに生きてきた日本人にとって、収穫の喜びの後に訪れる静けさと寒さを表す、非常に情緒深い季語です。

この季語で詠むコツ

「刈り田の衣」を詠む際は、単に寂しい風景を描写するだけでなく、衣服という「人間的な温もりや残り香」と、収穫が終わって冷えゆく「自然の厳しさ」との対比を意識すると良いでしょう。かつて田を守っていた案山子の衣が、今は風に激しく翻る様子や、朝露や夕暮れの冷たい光を浴びている様子など、時間経過や光の動き、触覚的な寒さを取り入れることで、一枚の絵画のような詩情が生まれます。「寂しさ」の中に、どこか哀愁や愛おしさを込めるのがポイントです。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 風、木枯らし、夕風(衣を揺らし、寒さを強調する動き)
  • 露、霜、時雨(衣を濡らし、冷たさを際立たせる自然現象)
  • 夕日、影、暮色(晩秋の寂しさを引き立てる光と時間)
  • 雀、烏、野の鳥(主のいなくなった田に集まり、寂しさを添えるもの)
  • 破れ、古び、綻び(衣の質感や生活感を表現する言葉)

刈り田の衣」の俳句例 (3件)

かかしの衣貸すべき風の寒さかな
加舎白雄【現代語訳】なんと風が寒く身に染みる日だろうか。刈り田に立つあの案山子の着ている衣でさえ、私に貸してほしいと思うほどだ。 【鑑賞】晩秋の旅の途上、あまりの寒さに、刈り田に立つ案山子が着ているボロボロの衣さえも愛おしく、借りたくなるというユーモアに満ちた句です。厳しい寒さという現実を、刈り田の風景と対比させながら、滑稽味をもって暖かく表現しています。
かかしの衣に風の吹く日かな
小林一茶【現代語訳】刈り取りの終わった田んぼに立つ案山子の衣服が、冷たい秋風に激しく吹かれている日であることよ。 【鑑賞】稲刈りが終わって寂しくなった刈り田に、ぽつんと残された案山子。その古びた衣服が風にバタバタと翻る様子を、一茶らしい素朴な目線で描いています。人間のいなくなった田んぼで、風だけが衣を揺らす光景に、晩秋の孤独と侘しさが漂う名句です。
案山子の衣あらはになりて寒からむ
向井去来【現代語訳】稲が刈り取られ、周囲がすっかり見通せるようになったため、案山子の着ている衣がむき出しになって、いかにも寒そうに見えることだろう。 【鑑賞】稲が生い茂っていた時期は隠れがちだった案山子の姿が、収穫後の刈り田(刈り田の衣)となって白日の下に晒されます。遮るもののない広大な空間で、北風にさらされる衣の「寒さ」を、案山子への同情を交えながら繊細に捉えています。

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