雁の使
autumn 動物

雁の使

かりのつかい

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意味・由来\n「雁の使(かりのつかい)」とは、秋に北から渡ってくる雁を、遠方からの便りを運ぶ使者に見立てた風雅な季語です。中国の漢の時代、匈奴に捕らえられた蘇武が、雁の足に手紙を結びつけて漢の皇帝に送り、自らの無事を知らせたという故事に由来します。ここから、雁は「遠く離れた人からの消息を伝える使者」とされ、手紙そのものや、手紙を届けてくれる存在を象徴するようになりました。\n### この季語で詠むコツ\n単に「雁が飛んでいる」という景色の描写にとどまらず、その向こう側にある「届かぬ思い」や「遠い人への恋しさ・懐かしさ」といった人間の心情を重ね合わせることが大切です。空を見上げる作者の視線と、心の中にある誰かへの想いを交差させることで、主観と客観が美しく調和した、奥行きのある句になります。\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n「便り」「手紙」「一筆」「封」「硯」といった書状にまつわる言葉や、「遥か」「故郷」「異国」「夜寒」「待つ」といった、距離感や哀愁を醸し出す言葉と非常によく調和します。

雁の使」の俳句例 (3件)

雁の使涙を落すなぐさみに
横井也有【現代語訳】遠い故郷や知人からの便りを運んでくる雁の使いよ。その姿を見るだけで、恋しさのあまり流れる涙を慰めることができるのだ。\n【鑑賞】切ない心情を「雁の使」に託し、空を見上げて涙をこぼしながらも、雁の存在そのものがかすかな慰めになっているという旅情や孤独感を優しく詠み上げています。
雁の使それとも見えず雲の端
上島鬼貫【現代語訳】はるばると便りを届けてくれるという雁の使いだが、遥か彼方の雲の端に消えてしまい、それとははっきり見極めることもできない。\n【鑑賞】秋の空を渡る雁の群れを見上げ、遠い地からの便りを運ぶ「雁の使」としての姿を追い求めますが、あまりに遠く、雲の彼方に消えていく寂しさを叙情的に詠んでいます。
雁の使ふでなき筆を染めかねて
加賀千代女【現代語訳】雁が便りを届けてくれるというので、こちらも返事を書こうとするが、不慣れな筆づかいのため、うまく文字を書き進めることができずに困っています。\n【鑑賞】「雁の使」というロマンチックな設定に対し、実際に手紙を書こうとする自らのぎこちない筆跡を自嘲気味に、かつ愛らしく描いた一句です。

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