雁の琴柱
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雁の琴柱

かりのことじ

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意味・由来 「雁の琴柱(かりのことじ)」とは、秋の夜空を列になって飛んでいく雁(かり)の群れの姿を、日本の伝統楽器である「琴(こと)」の弦を支えて音を調節する「琴柱(ことじ)」が並んでいる様子に見立てた、非常に優美で雅な言葉です。雁が一列に整然と並んで飛ぶ様子(雁行)を、音楽的な美しさに昇華させた先人の豊かな感性が光る季語です。 ### この季語で詠むコツ この季語を詠む際は、視覚的な美しさだけでなく、耳には聞こえないはずの「音」や「静寂」を意識すると効果的です。琴の音色を連想させるため、風の音や夜の静けさ、月明かり、楽器にまつわる言葉(糸や爪など)を組み合わせることで、空間的な広がりやしみじみとした情緒がより深く表現できます。雁の列が「整う」様子だけでなく、それが「乱れる」瞬間の動的な美を捉えるのもポイントです。 ### 相性のいい言葉・取り合わせ 月、風の音、糸、爪、調律、乱れる、静寂、茜空、夜寒など、琴や音楽に関連する言葉や、空の色・光の加減を表す言葉と非常に相性が良いです。

雁の琴柱」の俳句例 (3件)

月一輪雁の琴柱の乱れけり
与謝蕪村【現代語訳】夜空にぽつんと美しく輝く月が一輪ある。その月光を浴びながら、整然と飛んでいた雁の列(雁の琴柱)が、ふと乱れていくことよ。【鑑賞】静寂の中に浮かぶ月と、その光の中で一瞬崩れていく雁の列の動的な美しさを描いた、蕪村らしい絵画的で色彩豊かな名句です。
雁の琴柱をはづす夜寒かな
小林一茶【現代語訳】空を飛んでいく雁の列が崩れる様子は、まるで琴の弦を支える琴柱が外れてしまったかのようだ。そんな夜の、しみじみとした寒さが身に染みることよ。【鑑賞】雁の列の乱れを、寒さによって楽器の糸が緩み、琴柱が外れる様子に重ね合わせています。一茶らしい繊細な観察眼と、寒さという体感を視覚的なイメージと結びつけた見事な一句です。
雁の琴柱くづれて雲に残りけり
水原秋桜子【現代語訳】空を美しく渡っていた雁の列(雁の琴柱)が次第に崩れていき、その余韻だけが遠い雲の中に残っているかのようだ。【鑑賞】空の広がりと、消えゆく雁の美しさを捉えた近代俳句の名作。琴の音が消え去った後の静けさのような、余韻の美しさが読者の心に優しく響きます。

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