芥菜蒔く
autumn 生活

芥菜蒔く

からしなまく

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意味・由来

「芥菜(からしな)」はアブラナ科の二年生草本で、その種子は和辛子の原料として知られています。秋に種を蒔くことで、冬から春にかけて食用や菜種油用として収穫されます。このため、「芥菜蒔く(からしなまく)」は晩秋の農村の営みを伝える季語となりました。非常に小さな種を蒔く作業は、繊細で静かな手仕事の風情を持ち、冷たくなり始める秋の土に新たな生命を託す、どこか厳かで温かみのある生活のワンシーンを切り取ります。

この季語で詠むコツ

「芥菜蒔く」を詠む際は、種を蒔くという「手元のミクロな動作」と、秋の深まりゆく「マクロな自然風景」を対比させることがポイントです。指先からこぼれる小さな黒い種の感触や、静かな土の匂いといった触覚・嗅覚に焦点を当てることで、臨場感あふれる句になります。また、日暮れの早さや冷たい風など、晩秋特有の季節感を取り合わせると、作業の哀愁やひたむきさが引き立ちます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・視覚・触覚:指先、手のひら、黒土、畝(うね)、畑の隅、小さな種 ・時間・光:夕暮れ、西日、日暮れ、影法師、夕闇 ・自然・気候:秋風、冷気、嵐の晴れ間、静かな雲

芥菜蒔く」の俳句例 (3件)

芥菜を蒔くや夕陽の畑の隅
野村泊月【現代語訳】一日の終わり、沈みゆく美しい夕日を浴びながら、畑の静かな片隅にからし菜の種を蒔いている。【鑑賞】畑全体を耕すような大がかりな作業ではなく、畑の隅にささやかに種を蒔くという日常の営みが、斜めから差し込む夕日の光の中で叙情豊かに表現されています。
芥菜を蒔くや日暮のいそがはし
小林一茶【現代語訳】からし菜の種を蒔いていると、あっという間に日が暮れてきて、慌ただしくなってしまったことだ。【鑑賞】晩秋は一日の暮れるのが非常に早い季節です。「早く蒔き終えねば」と焦る一茶の姿を通して、等身大の素朴な農耕生活の忙しさと愛嬌が、生き生きと伝わってきます。
からしなを蒔くや嵐の晴れ間より
飯田蛇笏【現代語訳】激しい嵐が通り過ぎて、すっきりと晴れ渡ったその晴れ間を突いて、からし菜の種を蒔くことである。【鑑賞】嵐の後にしっとりと濡れて生命力を蓄えた土に対して、小さな種を蒔いていくたくましい生活の力。そして澄み渡る秋の青空の対比が、ダイナミックに描かれた名句です。

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