門まま
autumn 生活

門まま

かどまま

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意味・由来

「門まま(かどまま)」は、秋の収穫期、特に稲刈りなどで多忙を極める農家において、家の中に上がる時間すら惜しんで門口や庭先(門前)でさっと済ませる食事(門飯)のことです。「まま」とは、東北地方などの古語や方言で「飯(まんま)」を意味します。また、新米が無事に収穫できたことを神や自然に感謝し、その喜びを分かち合うために、あえて屋外の門口で食べるという民俗行事的な意味合いも含まれています。秋の爽やかな大気と、農繁期の活気に満ちた生活感を象徴する、温かみのある季語です。

この季語で詠むコツ

「門まま」を詠む際は、ただ食事をしている様子を描写するだけでなく、周囲の秋の情景と結びつけることが大切です。秋の澄んだ空気、高く広がる空、そよぐ風、あるいは刈り入れの音や新米の香りなど、五感を働かせた描写を加えることで、この季語が持つ「屋外での素朴な食事」という情景がより鮮明に立ち上がります。また、忙しさの中の一時の休息という人間の営みを温かく見つめる視点も効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 自然の動向・気象:秋風、青空、夕日、雲、赤とんぼ
  • 農作業・田園風景:稲穂、新米、籾殻(もみがら)、煙、箸、おにぎり、一息

門まま」の俳句例 (3件)

門ままや雲のゆききのいそがしき
向井去来【現代語訳】門口で慌ただしく食事を済ませていると、ふと見上げた秋の空でも、雲が忙しそうに次から次へと行き交っていることだ。 【鑑賞】刈り入れ期に大忙しで食事をかき込む地上の人間と、秋風に乗って速いスピードで流れていく天空の雲をユーモラスに対比させています。自然のダイナミックな動きと、人間の健気な営みが一体となった、広がりのある作品です。
門ままや稲ふむあとのうす煙
黒柳召波【現代語訳】門口で夕方の食事をとっていると、昼間の脱穀作業のあとか、遠くで薄い煙が静かに立ち上っているのが見える。 【鑑賞】一日の農作業(稲ふむ)を終え、ようやく一息ついて「門まま」を食べる安堵の時間帯を描いています。夕暮れの空気の中に漂う「うす煙」が、労働の充実感と、秋の深まりゆく寂しさを美しく演出しています。
門ままや箸にからまる秋の風
森川許六【現代語訳】門口で忙しく新米の飯を食べていると、爽やかに吹き抜ける秋の風が、まるで箸先にまでからみついてくるかのようだ。 【鑑賞】農繁期の合間に屋外でさっと済ませる「門まま」の食卓に、目に見えない秋の風を「箸にからまる」と触覚的に表現した、五感に響く見事な一句です。新米の温かさと秋風の涼しさが心地よく調和しています。

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