門火
autumn 生活

門火

かどび

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意味・由来

「門火(かどび)」は、お盆の時期に先祖の霊(精霊)を迎える、あるいは送るために、家の門口や玄関先で焚く火のことです。13日の夕方に焚く「迎え火」と、16日の夕方に焚く「送り火」を総称した季語であり、秋(初秋)に分類されます。古くから日本に伝わる祖霊信仰と仏教行事が結びついたもので、先祖の霊が迷わずに我が家へ帰ってこられるように、またあの世へ戻れるようにという祈りが込められています。主に「麻殻(おがら)」と呼ばれる麻の茎を燃やし、そのほのかな明かりと煙で霊を導きます。

この季語で詠むコツ

門火を詠む際には、単に火を焚いたという事実だけでなく、五感を意識して情景を描き出すのがコツです。炎の揺らめき、煙が立ち上る様子、麻殻が燃える匂いや音など、具体的な感覚をすくい取りましょう。また、門火を見つめる人々の佇まいや、夕闇が深まる静寂といった「周囲の空気感」を取り入れることで、亡き人への思暮や切なさといった感情が、読者に深く伝わるようになります。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 光と影の描写: 「夕闇」「わが影」「薄暮」「仄か」「揺らる」
  • 家族や人の様子: 「老いし父母」「幼き手」「静けさ」「見送る」
  • 自然・物質: 「秋風」「煙」「麻殻(おがら)」「夜気」

門火」の俳句例 (3件)

門火たくやそのけむり行く方へ行く
加賀千代女【現代語訳】門火を焚くと、その煙はただ風の吹くままに、流れていくべき方向へと流れていく。 【鑑賞】門火の煙が流れていく様子を、素朴かつ直観的に詠んだ句です。煙が行く方向へと自然に消えていく姿に、あの世へと戻っていく先祖の魂(精霊)の姿を重ね合わせています。作為のない素直な写生の中に、お盆の物悲しさと深い情愛が漂う名句です。
門火焚く母がうしろ姿かな
高浜虚子【現代語訳】門口で門火を焚いている、母の後ろ姿がしみじみと心に残ることよ。 【鑑賞】お盆の迎え火や送り火を焚く母親の後ろ姿を、温かくも少し寂しげな視線で見つめています。黙々と火を扱う母親の姿には、家族を思い、先祖を敬う変わらぬ日常の尊さが表れています。静寂の中に家族の絆を感じさせる叙情的な一句です。
門火たくやわが影ばかり動きだす
大野林火【現代語訳】静かにお盆の門火を焚くと、その炎の揺らめきによって、自分の影だけが動き出す。 【鑑賞】暗闇の中で火を灯した瞬間、静止していた周囲の風景の中で、自分自身の影だけが大きく不規則に動き出す様子を捉えています。門火の炎の揺らめきがリアルに伝わるとともに、亡き人を迎える、あるいは送る際の孤独感や厳かな心地が、動く影という視覚的要素によって見事に表現されています。

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