搗栗つくる
autumn 生活

搗栗つくる

かちぐりつくる

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意味・由来

「搗栗(かちぐり)」とは、栗を茹でて乾燥させ、臼(うす)で軽く搗いて殻と渋皮を剥き取った保存食です。「搗(か)つ」が「勝つ」に通じるため、「勝ち栗」として武家の出陣や祝い事、正月などに用いられる大変縁起の良いものとされてきました。「搗栗つくる」は、秋の収穫期にこの搗栗を手作りする作業を指す季語です。固い栗が臼の中で立てる乾いた音や、冬の備えとしての保存食作りにいそしむ素朴な山里の生活感が魅力です。

この季語で詠むコツ

搗栗を作るという「作業の具体性」に着目して詠むのが効果的です。例えば、乾燥した栗がぶつかり合うカラカラとした音、臼や杵などの木製道具の質感、または作業に熱中するうちに変化していく秋の日の光や影などが良い素材となります。山里の静けさや、冬が近づく季節の移ろいと重ね合わせると、叙情豊かな句に仕上がります。

相性のいい言葉・取り合わせ

・「臼の縁(ふち)」「日の光」「影」といった視覚的な明暗 ・「山里」「山風」「夕日」といった自然環境の描写 ・「こぼす」「乾く」「ひびく」など、栗の乾燥した硬さや音を連想させる動詞

搗栗つくる」の俳句例 (3件)

搗栗を臼にこぼすや山の秋
森川許六【現代語訳】天日で乾燥させた栗を臼に注ぎこぼし、搗栗を作り始めるところだ。山里の秋の気配がしみじみと感じられることよ。【鑑賞】「こぼすや」という表現から、十分に乾いた栗同士が立てる、かさかさとした乾いた音が視覚・聴覚を通じて伝わってきます。収穫の喜びと、静かな山里の生活が美しく写生された一句です。
搗栗や日かげになりぬ臼の縁
正岡子規【現代語訳】庭先で搗栗を作っているうちに時間が過ぎ、臼の縁がいつの間にか日陰になってしまった。【鑑賞】硬い栗の皮を剥く作業は手数がかかります。作業に集中する中で、秋の短い日差しが傾き、ひんやりとした日陰が忍び寄ってくる様子を「臼の縁」という極めて限定された視点から捉えた、子規らしい正確な写生句です。
搗栗や日に日に高き山おろし
加舎白雄【現代語訳】搗栗を作る季節がやってきたが、山から吹き下ろしてくる冷たい風は、日に日に勢いを増しているようだ。【鑑賞】乾燥を促す山おろしの冷たい風を、作業の背景として描いています。日に日に秋が深まり、冬がすぐそこまで来ていることを風の冷たさと強さから実感している、生命力あふれる句です。

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