樺火
autumn 生活

樺火

かばび

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意味・由来

「樺火(かばび)」とは、シラカバやダケカンバなどの樺の皮を燃やす火のことです。樺の皮は油脂分を多く含んでおり、湿っていても非常によく燃える性質があるため、古くから松明(たいまつ)の代わりや、夜釣りの篝火(かがりび)、山小屋での灯りや暖として重宝されてきました。秋の季語として用いられ、夜の静けさや冷え込む北国の自然、旅情などを象徴する風情豊かな言葉です。赤々と燃える樺火の温もりは、周囲の闇や寒さをいっそう際立たせ、秋の深まりを感じさせます。

この季語で詠むコツ

樺火を詠む際には、その「光と暗闇のコントラスト」や、燃える際の「パチパチという音や独特の匂い」など、五感を意識することが大切です。樺の皮が放つ温かみのある赤い光を、秋の夜の張り詰めた冷気や、どこまでも深い闇と対比させることで、ドラマチックな情景を演出できます。また、水辺での夜釣りや山深い宿など、具体的なシチュエーションを取り合わせると、旅情や孤独感が引き立ちます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 静寂や冷たさを表す言葉: 「夜寒(よさむ)」「秋の風」「闇」「水の底」「夜の秋」
  • 火や影の動きを表す言葉: 「漂う」「ともる」「揺らぐ」「陰(かげ)」
  • 旅情を感じさせる言葉: 「舟」「釣人」「山路」「宿」

樺火」の俳句例 (3件)

樺火して水の底なる夜の秋
飯田蛇笏【現代語訳】樺の皮を燃やす明かりを灯すと、その光は水の底まで届いているかのようだ。この澄んだ夜に、深まりゆく秋の冷涼さがしみじみと感じられる。 【鑑賞】「夜の秋」という晩夏の冷涼から初秋への移行期を表す季語と「樺火」を合わせた一句。水面に反射し、まるで水底までも見通せるかのように揺らめく樺火の光が、静寂に包まれた夜の透明感と涼しさを美しく描き出しています。
樺火して漂ふ舟や秋の風
飯田蛇笏【現代語訳】樺の皮を燃やした灯火を掲げ、水面を静かに漂っている舟がある。そこへ寂しげな秋の風がそよと吹き抜けていく。 【鑑賞】闇夜の水上にぽつんと浮かぶ舟と、そこで揺らめく樺火。そこに吹き抜ける「秋の風」が、火の温もりと周囲の冷気の対比を際立たせています。孤独感と旅情が漂う、絵画のように美しい一瞬を切り取った名句です。
樺火に影のうごかぬ夜寒かな
芥川龍之介【現代語訳】樺の火が赤々と燃えるその光の中に、じっと動かない影が映し出されている。夜の寒さがしんしんと身に染みる。 【鑑賞】「夜寒(よさむ)」の冷気の中、燃え盛る樺火の揺らめきとは対照的に、ピタリと動きを止めた人影の静けさを描いています。燃える火の熱と夜の冷たさ、動く炎と動かない影という二重のコントラストが、張り詰めた秋の夜の空気感を表現しています。

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