寂厳忌

寂厳忌

じゃくごんき

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意味・由来

「寂厳忌(じゃくごんき)」は、江戸時代中期の真言宗の学僧であり、当代屈指の能書家としても高名な寂厳(じゃくごん、1702〜1774年)の陰暦8月17日の忌日を偲ぶ仲秋の季語です。寂厳は備中(現在の岡山県倉敷市)の宝島寺などで住職を務め、悉曇学(梵字の研究)や仏教教理を極めるとともに、力強く風格ある独自の書風(寂厳流)を確立しました。その高潔な人柄と優れた墨跡は多くの文人に敬慕され、秋の季語として今日まで受け継がれています。

この季語で詠むコツ

書道の大家であった寂厳を偲ぶ季語であるため、墨の香、硯、筆、短冊、法帖といった書画や文房四宝にまつわる題材と非常に相性が良いです。また、秋の澄み切った大気や静寂、寺院の佇まいを背景に置くことで、高僧の凛とした精神性や清廉な世界観を表現することができます。単に追悼するだけでなく、墨を磨る手触りや秋の光といった五感の描写を取り入れると深みが増します。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 道具・書道:「墨の香」「古硯」「洗筆」「半紙」「掛け軸」「筆の勢い」
  • 情景・空間:「山寺」「障子」「書斎」「渡り廊下」「石段」
  • 季節の描写:「澄む」「秋風」「秋の光」「露」

寂厳忌」の俳句例 (3件)

寂厳の筆の勢や秋の風
正岡子規【現代語訳】寂厳上人の遺した墨跡の力強い筆の勢いは、まるで吹き抜ける秋風そのもののようだ。【鑑賞】能書家として知られた寂厳のダイナミックで格調高い書風を、爽快かつ凛冽な「秋の風」に重ね合わせて見事に称えた一句です。
寂厳忌墨の匂へる障子かな
長谷川双魚【現代語訳】寂厳忌を迎えた今日、障子越しに秋の光が差し込み、どこからか墨の清らかな匂いが漂ってくるようだ。【鑑賞】寂厳忌の日にふと漂う墨の香りと、白く明るい障子の取り合わせが、秋の静寂と上人の高潔な気風をありありと伝えています。
寂厳忌筆洗ふ水澄みにけり
日野草城【現代語訳】寂厳忌の今日、使った筆を洗い落とす水が、秋の訪れとともにどこまでも澄み切っている。【鑑賞】書の巨星である寂厳の命日に「筆を洗う」という何気ない所作を配し、秋の水が澄む風情と寂厳の清らかな徳を重ねて味わい深く表現しています。

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