犬飼星

犬飼星

いぬかいぼし

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意味・由来

「犬飼星(いぬかいぼし)」とは、七夕伝説でおなじみの「彦星(牽牛星・わし座のアルタイル)」の和名(古名・方言名)です。秋の夜空に明るく輝く主星の両脇に寄り添うように並ぶ二つの小星(β星・γ星)を、引き連れている2匹の「犬」に見立てたことからこの名がつきました。古代の人々の素朴で親しみ深い星空の観察眼が伝わる、初秋の天文を表す情緒豊かな季語です。

この季語で詠むコツ

「彦星」や「牽牛」と呼ぶと七夕の恋の物語や中国の伝説の色彩が強くなりますが、「犬飼星」という名を使うことで、日本の農村の原風景や夜の静寂、素朴な生活感、親しみやすさを際立たせることができます。澄み始めた初秋の夜空の冷涼感や、田畑、川、風などの自然の気配と響き合わせるように詠むと、この言葉の持つ土の匂いと温かみが活きてきます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・自然・風景:川音、夜風、虫の声、秋気、草の戸、露 ・生活・動作:見上ぐ、夜なべ、ともし火、歩む、琴、庭下駄 ・色彩・光感:澄む、青き光、あらはる、またたく

犬飼星」の俳句例 (3件)

琴とりて犬飼星にむかひけり
野沢凡兆【現代語訳】琴を手元に引き寄せ、秋の夜空に輝く犬飼星に向かい合って爪弾いたことだ。 【鑑賞】蕉門の俊英・凡兆の句。澄み渡る秋の夜空に浮かぶ犬飼星と、清らかな琴の調べが響き合う優雅で静謐な名句です。
犬飼の星あらはれて風澄めり
飯田蛇笏【現代語訳】犬飼星が夜空にくっきりと現れ、吹き抜ける風もいっそう澄み渡っている。 【鑑賞】蛇笏らしい格調高く清澄な自然描写です。星の輝きが増すと同時に、吹き渡る秋風の清涼感が皮膚感覚としてありありと伝わってきます。
犬飼星あらはれそめて川の音
中村汀女【現代語訳】空に犬飼星が現れ始めるとともに、近くを流れる川のせせらぎの音が耳に届いてくる。 【鑑賞】夕暮れから夜へと移り変わる瞬間の静けさを捉えています。視覚としての星の現れと、聴覚としての川の音の対比が、秋の夜の深まりを感じさせます。

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