稲雀

稲雀

いなすずめ

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意味・由来

「稲雀(いなすずめ)」とは、秋に黄金色に実った稲穂をついばむために、田んぼに群れ集まる雀のことです。 収穫期を迎えた田園に大群となって飛来し、稲穂から稲穂へと忙しなく飛び交います。農家にとっては大切な実りを食い荒らす憎らしい害鳥であり、案山子(かかし)や鳴子(なるこ)を仕掛けて追い払う対象ですが、俳諧の世界では秋の田園風景に躍動感や季節の深まりを添える風物詩として古くから親しまれてきました。

この季語で詠むコツ

稲雀の特徴は「群れ」としての集団行動と、「動と静」の対比にあります。 一羽一羽を見るのではなく、何百羽もの雀が一斉に飛び立ち、また波が引くように稲穂の海へ沈んでいくダイナミックな動きを描くと効果的です。また、雀の羽音や鳴き声などの「音」、飛び去った後の「静寂」、あるいは豊かな稲穂の黄金色と雀の姿といった「色彩の対比」を意識すると、生き生きとした秋の情景が浮かび上がります。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 田園・収穫の景観:黄金(こがね)、稲穂、田面(たのも)、刈田、畦道
  • 鳥を追う道具・仕掛け:案山子(かかし)、鳴子(なるこ)、威銃(おどしづく/おどしじゅう)
  • 動きや音を表す言葉:一斉に、ぱつと、ふはりと、群れて、羽音、ざわめき

稲雀」の俳句例 (3件)

稲雀ぱつと立ちたる静けさよ
大野林火【現代語訳】群がっていた稲雀が一斉にパッと飛び立った。そのあとに残された田んぼの静けさよ。 【鑑賞】群雀が一瞬にして飛び去った直後の、田園に広がる深い静けさを詠んでいます。羽音を立てて飛び立つ「動」を描くことで、その後に訪れる「静」を際立たせる見事な対比の技法が光る一句です。
稲雀ふはりと立ちてまた下りぬ
高浜虚子【現代語訳】稲雀の群れが、ふわりと軽やかに飛び立ったかと思うと、また元の稲穂の中へと下りていった。 【鑑賞】稲雀の群れの柔らかくも気まぐれな動きを「ふはりと」というオノマトペ一つで見事に捉えた名句です。警戒心を持ちつつも豊かな実りに夢中になっている雀たちの長閑で平和な秋の情景が目に浮かびます。
稲雀群れては落つる田面かな
内藤丈草【現代語訳】稲雀が群れをなして飛んでは、重なり合うように田の面へと下りていくことだ。 【鑑賞】芭蕉門下である丈草の句です。「落つる」という表現によって、大群の雀が一斉に急降下して稲穂の中に吸い込まれていく重量感と勢いを生き生きと描き出しています。

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